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日米関係, 経済安全保障, 海洋, ナラティブ, シンクタンク

日米戦略投資からの産業活性化—高市政権が直面する外交課題

2025年10月21日、自由民主党総裁の高市早苗氏が総理大臣に就任し、新内閣が発足した。高市政権が最初に直面する最重要イベントは、米国のトランプ大統領の来日になる。今後の日米外交においては、両国が合意した戦略的投資イニシアティブの確実な履行が不可欠な要素となった。米国に対する総額5500億ドルの投資枠組みの内容を整理したうえ、「海洋」、「宇宙」などの視点から日本の経済・産業活性化につなげる端緒を探る。

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  • 「2025年の崖」という言葉がある。経済産業省は6年前に発表した「DXレポート」で、この年には企業の基幹系システムの約6割が導入から21年以上経過する見込みであるため、放置すれば崖のように巨額な経済損失が発生すると警鐘を鳴らしていた。その2025年を実際に迎えて振り返ると、ERPのリプレイスや導入は一定程度進んだとい言える。一方で、転落を免れた企業が新たな課題に直面している。レガシーシステムを刷新しさえすれば崖を乗り越えられるとの風潮が広まったため、DXレポートの本質だったデジタル技術を活用した事業変革が疎かになった面があるのだ。企業は足元の課題に向き合い、競争優位性を高めるための経営基盤としてERPを活用し、本質的なDX実現を目指すべきであろう。

  • 欧州の自動車産業は、1世紀にわたり世界のリーダーであり続けてきたが、今、その地位は揺らぎつつある。需要の低迷、EV転換の遅れ、中国の台頭――。これらの課題を乗り越えなければ、欧州のリーダーシップは終焉を迎えるかもしれない。関税引上げなど保護主義的措置では限界があり、技術革新や産業基盤強化といった中長期的な視点が求められる。

  • 2024年11月11~24日にアゼルバイジャンの首都バクーで、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第29回締約国会議(COP29)が開かれた。今回COPでは途上国の温室効果ガス(GHG)排出削減や温暖化への適応を支援するための資金支援目標額が決定されるなどしたが、特に重要なのはパリ協定第6条の実施規則(パリルールブック)をめぐる交渉がようやく妥結したことだ。これでパリ協定は本格的な実施の段階に移った。ただ、2025年1月には、地球温暖化対策に否定的な立場をとってきたトランプ氏が米大統領に就任する。その国際的な影響については読めない部分が多い。

  • 2025年の国内政治は、2024年以上に激動の一年になるかもしれない。2025年夏に予定されている参院選の結果次第で与党が過半数に届かなければ、衆参両院で過半数割れとなり、政権交代も現実のものとして見えてくる。政治の不安定化は政策の予見可能性を低くさせるなど企業活動にも大きな影響を及ぼす。2025年の政局展望について3つのポイントを示して解説する。

  • 2025年は「次元の異なる少子化対策」が本格的に稼働する年だ。拡充した児童手当が年間を通じて支給されるとともに、未就学児の親が柔軟に働けるよう企業に求める改正育児・介護休業法などが施行される。急速に進む少子化に歯止めをかけるには経済・仕事面での育児負担軽減に加え、子どもを持ちやすくする環境づくりを一層進めていく必要がある。

  • 個人消費

    2025年は団塊世代が後期高齢者となって「重老齢社会」に入る節目の年である。さらに2040年には団塊ジュニアが高齢者となり、個人消費におけるシニア層の存在感はさらに強まる。そこで本論では、コンシューマー産業が高齢者による需要をとらえるヒントを導出するべく、改めて高齢者の消費特性を振り返った。家計調査から見ると、高齢者の平均支出には節約志向がうかがえる。しかし、財・サービスの一部については前期高齢者から後期高齢者に向けて、消費志向性が高まる。このポテンシャルを発揮するため、コンシューマー産業には「つながり消費」・「オンライン化」・「インフレ対応」の3つの観点からのアプローチが不可欠になる、というのが本論の仮説である。

  • 政府は2025年、「中堅企業」の成長に向けた官民支援を拡充する。中堅企業が「成長の屈曲点」を乗り越えるために必要な施策とは何か。求められるのは、人材戦略と成長投資、これらを支えるガバナンスの強靭化であろう。いずれも「自前主義からの脱却」が焦点になる。この観点から、中堅企業の成長ビジョンと官民支援の在り方を整理したい。

  • 男女格差を評価するジェンダーギャップ指数で、日本は148ヵ国中118位、G7の中で最下位であるだけでなく、他のアジア主要国にも立ち遅れている。経済分野では、女性の役員や管理職の比率が低い。日本政府は「2025年に女性役員比率19%」など女性登用に関する数値目標を設定しているが、強制力がない努力目標のため、数字合わせに留まる企業もあり、男女格差の真の是正には不十分といわざるを得ない。女性が活躍する企業の方が業績が良いという調査結果が複数出ていることに加え、女性が活躍できない企業は投資家からの評価が下がり、人材獲得が難しくなるなどのリスクがあることも認識すべきであろう。実効性のある取り組みとして、少数派に一定の比率を割り当てる「クオータ制」の導入なども選択肢となり得るのではないか。

  • 2024年、BRICSは加盟国を拡大し、既存の国際秩序に挑む動きを見せている。一方、米国の次期大統領となるトランプ氏の強硬な反BRICS姿勢は、新たな地政学的リスクを生み出す可能性がある。本レポートでは、BRICSの狙いとその限界を考察するとともに、今後の国際秩序の変容を3つのシナリオを通じて展望する。BRICSが反米連合として一枚岩となる可能性は低いものの、世界が多極化に向かう流れは避けられないだろう。

  • 米国のトランプ第2期政権が2025年1月20日、発足する。大統領に返り咲くトランプ氏は対立する中国だけではなく、カナダやメキシコへの関税賦課を表明した。連邦政府の再構築や大幅な規制緩和を進める意向も示している。米国は深刻な社会的分断の中、予見不可能性と自国最優先の度合いを増していくだろう。次期政権の政策、議会との関係を整理しながら、日本企業が現時点で留意すべき3つのポイントを取り上げる。

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