Strategy Institute
先行き不透明な時代における新たな成長のカタチを活写、提言


お知らせ
Our Mission
日本のあるべき未来を構想し、創造する
今、世界は不確定要素と変動要因に満ち溢れ、未来を見通すことがとても難しくなっています。そんな時代だからこそ、まずはあるべき未来の姿を構想し、それを実現するための長期戦略を練りこみ、着実に実行していくという創造的アプローチが必要だと、私たちは考えています。Strategy Instituteは、M&Aなどによって企業の成長と再生を支援するデロイト トーマツが母体となって始動。より良い未来への提言を発信するとともに、様々なステークホルダーとの協働・共創を促す触媒としての役割を果たしていきます。
Research & Analysis

欧州のAI(人工知能)政策専門家たちによる近未来予測「Europe2031」は、AI政策に関する判断ミスが衰退を招く様相を描き出し、世界中に波紋を広げた。前回の論考ではEurope2031が提起した地政学的・経済安全保障上の課題=内容(コンテンツ)を取り上げたが、本稿ではその形式(フォーム)に焦点を当てる。Europe2031の執筆者たちは、従来の政策文書形式を排し、「SFプロトタイピング(Sci-Fi Prototyping / Speculative Fiction Prototyping)」と呼ばれる手法を用いて、政策当局者の感情と直感に刺さる物語を紡ぎ出した。生成AI、自律型AIエージェントが急激に普及・進化している現在、SFプロトタイピングをAIと融合させるアプローチは、政策立案・分析に技術革新をもたらす可能性がある。

欧州のAI(人工知能)政策専門家たちが公表した近未来予測「Europe2031」が世界中で波紋を広げている。架空の欧州委員会職員とAI起業家が主人公となって未来を描く物語であることも未来予測のあり方に新たな視座をもたらした。特筆すべきは、AIをめぐる課題をイノベーション推進や規制の枠組みにとどめず、EU(欧州連合)の主権や交渉能力という地政学的観点から描写したことにある。AI主権を政治哲学上の概念にとどめず、AIを動かすための総合インフラ力である計算資源、半導体供給網やデータへのアクセス権と再定義し、具体的な課題として示した点は斬新である。この近未来シナリオは日本にどのような示唆を与えるのか。先端AIへのアクセス制限リスクや中堅国連携の可能性に言及しながら、読み解きたい。
