レポート
Strategy Instituteのレポートを掲載しています。

Research&Analytics

生成AIほど劇的に登場し話題をさらった技術は他にない。1年経って熱狂のフェーズは過ぎ、技術の進歩が目覚ましく一般ユーザへの普及が進んだ反面で、エンタープライズ(ビジネスの現場)においては実装が遅れているという課題も見えてきた。生成AIの有用性を前提としつつ、2024年は実際の業務に変革を起こし成果獲得につながる技術の採用が焦点になる。

「中堅企業」に対する成長促進措置が2024年の経済・産業政策で注目すべき取り組みになる。政府は産業競争力強化法を改正し、従業員2000人以下の企業を新たに中堅企業と位置付ける。2024年度政府予算案、政府税制改正大綱から新政策のポイントを整理したい。

欧州委員会は2023年11月、重要原材料法案(the Critical Raw Materials Act: CRMA)が政治合意に達したと発表した。重要鉱物の確保を目指す法整備だ。各国政府は重要鉱物へのアクセスを確保するために、鉱山開発や国際連携など様々な施策を打ち出している。欧州連合(EU)も例外ではなく、重要原材料法案は、重要鉱物の囲い込み政策の一環である。本稿では、重要原材料法案を詳述したうえで、重要鉱物を取り巻く各国の熾烈な獲得競争について分析する。

成長分野への投資として活用されている国の基金をめぐり、事業のKPI(重要業績評価指標)が一部で策定されていなかったことなどが明らかになり、非効率的な運営が問題視されている。政府内では昨今、基金だけでなく予算事業全般においても政策の実効性を高めることが急務となっている。そこで本稿では、より効果的な政策形成を実現するため、政策分析の専門性を有するデータアナリスト人材の積極的な登用を提言したい。英国政府における分析専門職の活用事例も紹介し、「政策形成の近代化」に向けた具体的な方策を考える。

企業に生物多様性や森林、土壌などの「自然資本」の評価と情報開示を求める動きが加速している。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が2023年9月に公表した最終提言を参照し、今後の自然資本開示の制度化に向けて企業が留意すべきポイントを整理したい。特に、企業が自然資本開示を進めるうえで、地域・自治体との連携や対話が重要になりそうだ。

政府は従業員2000人以下の企業を法的に「中堅企業」と位置付け、税制優遇を含めた支援政策を講じることを検討している。2024年に産業競争力強化法などの関連法が改正されれば、大企業と中小企業の間に中堅企業という新たな枠組みが生まれる。中堅企業を、大企業・中小企業間の「成長の壁」を解消する存在にできるのか。新制度に求められるポイントを整理したい。

欧州連合(EU)は、2023年8月、バッテリー規則を施行した。2024年から段階的に適用される。EU域内に持続可能なバッテリーのバリューチェーンを構築することで、脱炭素社会の実現を目指す。バッテリー規則は、EU域内で販売される全てのバッテリーに対し、ライフサイクル全体にわたる環境、資源循環、人権などに関する情報の開示を義務付ける。企業には、データにもとづいてサプライチェーンを管理することが求められる。

政府はデジタル・ガバメントの実現を目指しており、デジタル技術を活用し行政のサービス向上や効率化を実現するGovtech(Government+Technology)が活性化している。現状、行政のIT調達においては参入障壁の高さやサプライヤーの集中が課題となっており、デジタルマーケットプレイス(DMP)計画が進んでいる。先行するイギリスではDMP導入後に多様なGovtech企業の参画が実現しており、日本においても、Govtechスタートアップのビジネス機会増大に繋がると期待できる。そのためには、DMPの成功はもちろん、スタートアップにとっての課題解決を進めていくことが必要である。

政府は11月2日に閣議決定した総合経済対策で、特許などの所得に関する新たな減税制度(イノベーションボックス税制)の創設を明らかにした。新税制は、研究開発の成果である特許などが生み出す所得に優遇税率を適用することで、知的財産を活用した社会実装に向けた企業の投資を促進することを目指す。年末にもまとめる与党税制改正大綱で制度の詳細が示される見通しだ。企業の研究開発に係わる投資戦略にも影響する本税制の特徴を整理し、今後の与党協議において注目すべき論点を考察する。

2023年10月1日、欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)の移行期間が開始した。CBAMは、いわゆる国境炭素税と呼ばれるもので、気候変動の対策が不十分な国から欧州経済領域(EEA)域内への輸入品に対して、“関税”が賦課される。CBAMの導入は世界初の取り組みであり、鉄鋼・アルミニウム業界を中心に産業界は対応に迫られている。対象製品や温室効果ガス(GHG)排出量の計算方法などを含め、EUの今後の運用を注視する必要がある。