レポート
Strategy Instituteのレポートを掲載しています。

Research&Analytics

米中の覇権争いやウクライナ戦争など地政学的緊張が高まる中、「グローバルサウス」の重要性が高まっている。経済的な理由だけでなく、経済安全保障の観点からも日本には官民を通じたグローバルサウス諸国との連携が求められる。本稿では、日・ASEAN関係に焦点を当てる。ASEANは日本企業にとって単なる安い労働力や労働集約型の製造拠点から、グローバル・バリューチェーンの要へと変化してきた。そしてこれからは、互いの課題を解決するために「共創」という付き合い方があることを示したい。

バブル全盛期以降の日経平均株価最高値更新、大手企業の賃上げなどのニュースが相次いでいる。こうした中、本調査では、ビジネスパーソンが日本経済および日本企業について「競争力が低い」と認識していることが明らかとなった。競争力強化に向けて重要な政策・施策のトップには「技術開発やイノベーションへの投資」「デジタル化、DXの推進」が挙がる。経済成長のために重要な技術としてはAI、次世代エネルギー・環境エネルギーの回答率が特に高い。日本経済・日本企業の競争力を向上させるためには、これらの新技術の開発や活用などを手段とした変革(DX、GX)を進めることは必須といえる。しかし、ビジネスパーソンは自身の勤務先企業を保守的と認識していることもわかった。

いよいよ2024年4月を迎えた。物流業では労働時間の上限規制が設けられる「2024年問題」が喫緊の課題である。トラックドライバーの人数減少や高齢化も進んでおり、何も手を打たないままでは輸送能力が大幅に不足する物流危機に直面する。課題解決のためには物流改革が必須となり、政府も政策パッケージを打ち出し法整備や規制などの対策を進める。物量が多いのはB2B物流であること、運送業は多重下請け構造となっており中小零細企業は元請企業の意向に左右されることから、抜本的な改革のカギを握るのはB2B物流の主要なステークホルダーである大手運送業や荷主といえる。大手企業には、デジタル技術を活用した業務改革や、将来的なフィジカルインターネットの実現に取り組むことが求められる。その際、物流テックを担うスタートアップとの連携も焦点の一つとなるだろう。

米国の2024年大統領選挙に向けて、トランプ前大統領が共和党候補者指名に必要な代議員数を確保した。2020年に続き、バイデン大統領との一騎打ちになることは確定的となり、「ほぼトラ(ほぼトランプ氏が勝ちそう)」という論調が勢いづいている。トランプ氏が再選されれば、産業、エネルギー、外交など幅広い領域で急激に政策が転換されるため、日本企業は備えが求められるだろう。トランプ氏が選挙を制した場合、新政権に影響を与える保守派の動き「Project 2025」とシンクタンク「America First Policy Institute」について解説する。

インターネット上の住所に相当する「.com」「.net」などのドメイン名は従来、国際的な団体によって中央集権的に管理されてきた。しかし、ブロックチェーン(分散型台帳)を取り入れるWeb3が発展し、個人や法人がドメイン名を好きな名前(文字列)で登録しやすくなった。一元的に管理されないWeb3空間が広がるにつれて、異なるネット規格で同じ文字列のドメイン名が登録され、重複してしまうという問題は多発する恐れがある。放置すれば通信障害や誤送金の危険性は高まるだろう。Web3時代のネット社会が安心感を持って安全に発展するためには、事業者と利用者双方による「住所重複」リスクの周知・理解とガバナンスの構築が求められる。

建設業は、2024年4月以降に時間外労働時間の規制が厳しくなり、労働時間の短縮により人手不足などの諸問題が深刻化する「2024年問題」に直面している。働き手が不足する中で、資材価格上昇、都市開発などによる需要増、インフラの老朽化などの経営環境変化に対応するためには、デジタル技術を活用した構造改革が不可欠といえる。国土交通省は、建設業の生産性向上を目指すプロジェクトとしてi-Constructionを推進し、3次元データの活用を始めとしたICT技術の積極活用を進める。建設業の事業変革、DX推進においては、優れた技術や能力を持つスタートアップの活躍が求められている。

デジタルツインとは、デジタル空間上に現実の双子(ツイン)となるデータを再現し、高度なシミュレーションや分析を行うことができる技術である。これを都市に適用し、防災、まちづくりなどに活かす取り組みが進んでいる。国土交通省は3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を行うプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」を推進する。静岡県や東京都が活用する点群データも精度の高さなどの面で有益な技術となる。産官学の協業によって、自治体のノウハウ不足、費用対効果に対する理解の得にくさ、ユースケースの不足などの諸問題を解決した上で、行政のDXやスマートシティを支える標準的なインフラとして発展していくことが望ましい。 デジタルツインによるまちづくりとは

2024年の日本政界は激動の一年となりそうだ。政治資金パーティーをめぐる事件が自民党を直撃し、4つの派閥が解散に追い込まれた。そうした中で最大の注目は自民党総裁選挙である。今回の事件への対応を誤れば岸田文雄首相の総裁再選も危うくなる。もし新しい総理・総裁が誕生すれば、3年ぶりに総選挙が年内に実施される公算が大きい。海外に目を向けると、6月の欧州議会選挙、11月の米国大統領選挙など世界情勢に影響を与える選挙が控える。「選挙イヤー」となる2024年に岸田政権を待ち受けるシナリオを予測するとともに、日本を取り巻く情勢を展望する。

2024年は、世界各地で重要な選挙が行われる「選挙イヤー」であり、1月のバングラデシュ総選挙から11月の米大統領選に至るまで、多くの国・地域で選挙が予定されている。これらの選挙結果は、各国の政治環境や政策、貿易規制の方向性に影響を及ぼし、地政学リスクを高める可能性がある。本稿では、米中の対立点の1つとなっている台湾の総統選挙・立法院選挙に注目し、今回の選挙結果を概観したうえで、今後のシナリオを考える。

全自治体が、住民情報系システムの標準化とガバメントクラウドへの移行を同時に行おうとしている。2025年度末までの短期スケジュール、コストアップになる運用費、継続する法改正対応など課題は多く、自治体やベンダーは苦慮している。政府が掲げた「コスト3割減」という目標にも疑問の声が上がる。しかし、標準化とガバメントクラウド移行の本来の目的は、少子高齢化が進む自治体の「2024年問題」をふまえ、データ連携・データ活用を実現することと考える。2026年度以降に目指すのは、公共サービスメッシュによる「スマホ60秒」という未来である。国、自治体、企業など関係者は、現在の巨大プロジェクトを推進するにあたり、この前提を共有しておきたい。