レポート

Strategy Instituteのレポートを掲載しています。

日米関係, 経済安全保障, 海洋, ナラティブ, シンクタンク

日米戦略投資からの産業活性化—高市政権が直面する外交課題

2025年10月21日、自由民主党総裁の高市早苗氏が総理大臣に就任し、新内閣が発足した。高市政権が最初に直面する最重要イベントは、米国のトランプ大統領の来日になる。今後の日米外交においては、両国が合意した戦略的投資イニシアティブの確実な履行が不可欠な要素となった。米国に対する総額5500億ドルの投資枠組みの内容を整理したうえ、「海洋」、「宇宙」などの視点から日本の経済・産業活性化につなげる端緒を探る。

注目レポート

Research&Analytics

  • 建設業は、2024年4月以降に時間外労働時間の規制が厳しくなり、労働時間の短縮により人手不足などの諸問題が深刻化する「2024年問題」に直面している。働き手が不足する中で、資材価格上昇、都市開発などによる需要増、インフラの老朽化などの経営環境変化に対応するためには、デジタル技術を活用した構造改革が不可欠といえる。国土交通省は、建設業の生産性向上を目指すプロジェクトとしてi-Constructionを推進し、3次元データの活用を始めとしたICT技術の積極活用を進める。建設業の事業変革、DX推進においては、優れた技術や能力を持つスタートアップの活躍が求められている。

  • デジタルツインとは、デジタル空間上に現実の双子(ツイン)となるデータを再現し、高度なシミュレーションや分析を行うことができる技術である。これを都市に適用し、防災、まちづくりなどに活かす取り組みが進んでいる。国土交通省は3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を行うプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」を推進する。静岡県や東京都が活用する点群データも精度の高さなどの面で有益な技術となる。産官学の協業によって、自治体のノウハウ不足、費用対効果に対する理解の得にくさ、ユースケースの不足などの諸問題を解決した上で、行政のDXやスマートシティを支える標準的なインフラとして発展していくことが望ましい。 デジタルツインによるまちづくりとは

  • 2024年の日本政界は激動の一年となりそうだ。政治資金パーティーをめぐる事件が自民党を直撃し、4つの派閥が解散に追い込まれた。そうした中で最大の注目は自民党総裁選挙である。今回の事件への対応を誤れば岸田文雄首相の総裁再選も危うくなる。もし新しい総理・総裁が誕生すれば、3年ぶりに総選挙が年内に実施される公算が大きい。海外に目を向けると、6月の欧州議会選挙、11月の米国大統領選挙など世界情勢に影響を与える選挙が控える。「選挙イヤー」となる2024年に岸田政権を待ち受けるシナリオを予測するとともに、日本を取り巻く情勢を展望する。

  • 2024年は、世界各地で重要な選挙が行われる「選挙イヤー」であり、1月のバングラデシュ総選挙から11月の米大統領選に至るまで、多くの国・地域で選挙が予定されている。これらの選挙結果は、各国の政治環境や政策、貿易規制の方向性に影響を及ぼし、地政学リスクを高める可能性がある。本稿では、米中の対立点の1つとなっている台湾の総統選挙・立法院選挙に注目し、今回の選挙結果を概観したうえで、今後のシナリオを考える。

  • 全自治体が、住民情報系システムの標準化とガバメントクラウドへの移行を同時に行おうとしている。2025年度末までの短期スケジュール、コストアップになる運用費、継続する法改正対応など課題は多く、自治体やベンダーは苦慮している。政府が掲げた「コスト3割減」という目標にも疑問の声が上がる。しかし、標準化とガバメントクラウド移行の本来の目的は、少子高齢化が進む自治体の「2024年問題」をふまえ、データ連携・データ活用を実現することと考える。2026年度以降に目指すのは、公共サービスメッシュによる「スマホ60秒」という未来である。国、自治体、企業など関係者は、現在の巨大プロジェクトを推進するにあたり、この前提を共有しておきたい。

  • 生成AIほど劇的に登場し話題をさらった技術は他にない。1年経って熱狂のフェーズは過ぎ、技術の進歩が目覚ましく一般ユーザへの普及が進んだ反面で、エンタープライズ(ビジネスの現場)においては実装が遅れているという課題も見えてきた。生成AIの有用性を前提としつつ、2024年は実際の業務に変革を起こし成果獲得につながる技術の採用が焦点になる。

  • 「中堅企業」に対する成長促進措置が2024年の経済・産業政策で注目すべき取り組みになる。政府は産業競争力強化法を改正し、従業員2000人以下の企業を新たに中堅企業と位置付ける。2024年度政府予算案、政府税制改正大綱から新政策のポイントを整理したい。

  • 欧州委員会は2023年11月、重要原材料法案(the Critical Raw Materials Act: CRMA)が政治合意に達したと発表した。重要鉱物の確保を目指す法整備だ。各国政府は重要鉱物へのアクセスを確保するために、鉱山開発や国際連携など様々な施策を打ち出している。欧州連合(EU)も例外ではなく、重要原材料法案は、重要鉱物の囲い込み政策の一環である。本稿では、重要原材料法案を詳述したうえで、重要鉱物を取り巻く各国の熾烈な獲得競争について分析する。

  • 成長分野への投資として活用されている国の基金をめぐり、事業のKPI(重要業績評価指標)が一部で策定されていなかったことなどが明らかになり、非効率的な運営が問題視されている。政府内では昨今、基金だけでなく予算事業全般においても政策の実効性を高めることが急務となっている。そこで本稿では、より効果的な政策形成を実現するため、政策分析の専門性を有するデータアナリスト人材の積極的な登用を提言したい。英国政府における分析専門職の活用事例も紹介し、「政策形成の近代化」に向けた具体的な方策を考える。

  • 企業に生物多様性や森林、土壌などの「自然資本」の評価と情報開示を求める動きが加速している。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が2023年9月に公表した最終提言を参照し、今後の自然資本開示の制度化に向けて企業が留意すべきポイントを整理したい。特に、企業が自然資本開示を進めるうえで、地域・自治体との連携や対話が重要になりそうだ。

136件中91 - 100