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パネルディスカッションⅡの様子

成長戦略, 経済安全保障, 科学技術, 宇宙, セミナーレポート, シンクタンク, AI

日本の成長の「勝ち筋」と企業に求められるもの ~デロイト トーマツ戦略研究所シンポジウムより

地政学リスクが高まりAIなど先端技術の急速な実装が世界的に進む一方、人口減少や生産性低迷に悩む日本は新たな「勝ち筋」を必要としている。一般社団法人デロイト トーマツ戦略研究所(DTSI)はこのほど、デロイト トーマツ グループとの共催でシンポジウムを開いた。日米から産学官の有識者を集め、日米同盟や宇宙・通信産業の視点から、成長戦略のあり方と企業が何をなすべきかを議論した。

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  • 対話型生成AI(人工知能)を社会活動やビジネスに活用する試みが広がりつつある。政府は「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」(成長戦略)で、AI開発・利用の拡充を重要施策に掲げた。ただし、主だった生成AIを日本語で利用した場合、現時点では英語ほど高い精度を得られていない。その理由と精度向上に向けた課題を整理する。

  • 政府がエビデンスなどの合理的根拠に基づいて政策を立案する「EBPM(Evidence-Based Policy Making)」の本格的な導入を推し進めている。2024年度予算の編成において国の全5000事業にEBPM手法を展開させ、2024年4月にはその情報をデータベース化したシステムの一般公開も予定している。EBPM導入で目指すところは、これまでの経験や前例踏襲といった定性的な政策立案からの脱却であり、企業におけるイノベーションや成長産業創出のためにも欠かすことができない。

  • 政府はスタートアップ5カ年計画で10万社の創業を将来の目標に掲げている。目標を達成するには、起業家の育成とともにスタートアップ企業で働く従業員の確保が欠かせない。転職を希望する働き手のチャレンジを支援するとともに、企業の経験者採用を後押しすることも必要だ。転職後の試用期間について再考の余地があるのではないか。

  • 2023年の骨太の方針で、スタートアップ育成にインパクト投資という手法を積極的に活用する方針が示された。インパクト投資はスタートアップとの相性が良い。それゆえ、金融庁が主導する形で、インパクト投資の促進のための環境整備が進んでいる。インパクト投資への共通理解が形成され、投資人材の厚みが増し、投資コストの削減が進むと、スタートアップ育成の切り札となるだろう。

  • 政府が職務内容を明確にした「ジョブ型」雇用への移行を促そうとしている。ジョブ型は、年齢に関係なく職務を遂行できるスキルを持つ人を登用する。ジョブ型の米国や英国などでは定年を原則的に禁止しており、日本でも定年の見直し議論につながっていく可能性がある。少子高齢化の進行を踏まえれば、意欲のある高齢者の活躍は社会の持続性向上にもつながる。ただ、定年は企業にとって人材の新陳代謝という機能を果たしており、単純な延長や廃止には慎重であるべきだろう。雇用の流動性を確保する政策とセットで検討すべきだと考える。

  • 2023年3月のシリコンバレーバンクの銀行取り付けによる破綻以降、米国を中心に銀行の信用不安が続いている。2023年5月に開催された、G7財務大臣・中央銀行総裁会議などの、最近の国際会議での議論を踏まえると、今回の銀行取り付けについて、国内外で今後何らかの追加の対策が行われる可能性がある。日本においては、SNS・デジタルバンキング時代に則して、これまでのリスク管理や規制監督の常識であった「預金の粘着性」の高さ、つまり預金は流出しにくいという前提を見直す必要がある。

  • 米国と中国の経済面における完全デカップリング(分断)は非現実的だが、こと先端技術分野に関しては競争と分断は激化する一方で、両者一歩も引かない構えを見せている。日本企業にとっても、影響は免れない。

  • 2023年度は、「経済安全保障」の影響が多くの日本企業に波及する元年になる。まずは、ここに至る背景と全体像を俯瞰しておきたい。2回に分けて解説する。

  • 政府は経済・産業のグリーントランスフォーメーション(GX)を重点政策に掲げている。企業にとっては、温室効果ガスの排出削減に向けた新規投資と同時に、排出量の多い既存設備の廃棄が重要な課題となる。該当する重厚長大産業は業界内外の調整が求められる一方、競合会社同士の情報共有では独占禁止法への注意が必要になる。GXの行方を左右する設備の廃棄について、留意すべきポイントを整理したい。

  • 物価の上昇が続くなか、政府が賃金の底上げに力を入れている。経済界や労働団体の代表者が参加した政府主催の「政労使会議」で、岸田文雄首相は最低賃金について「今年は、全国加重平均1000円を達成することを含めて(中略)しっかりと議論いただきたい」と発言した。1000円の達成には過去最高の引き上げが必要になる。全体の底上げに加えて、政府が推進する「ジョブ型」雇用の考えを最低賃金制度に採り入れ、介護士や保育士など低賃金が人手不足の要因となっている問題を解消できないか提案したい。