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日米関係, 経済安全保障, 海洋, ナラティブ, シンクタンク

日米戦略投資からの産業活性化—高市政権が直面する外交課題

2025年10月21日、自由民主党総裁の高市早苗氏が総理大臣に就任し、新内閣が発足した。高市政権が最初に直面する最重要イベントは、米国のトランプ大統領の来日になる。今後の日米外交においては、両国が合意した戦略的投資イニシアティブの確実な履行が不可欠な要素となった。米国に対する総額5500億ドルの投資枠組みの内容を整理したうえ、「海洋」、「宇宙」などの視点から日本の経済・産業活性化につなげる端緒を探る。

注目レポート

Research&Analytics

  • 第2次トランプ政権による米国の政策変更は、欧州に大きな動揺をもたらしている。現在、米欧関係は、貿易、防衛・安全保障、ウクライナ問題、選挙介入、デジタル規制、気候変動といった多岐にわたる領域で摩擦が同時多発的に生じ、かつてない緊張状態にある。こうした衝突は一過性のものではなく、大西洋の絆の性質そのものを根本から変容させるリスクを孕んでいる。欧州は、トランプ2.0にどう向き合うのか。最大の焦点は、最も強力な報復措置とされる反威圧措置(ACI)を行使するかどうかであり、欧州の本気度を内外に示す試金石となる。

  • 論点

    政府は、今国会に年金制度改革法案の提出を検討している(※1)。現行制度になってから40年が経ち、働き方や家族形態などの変化にどう対応するかが改革のポイントになる。公的年金は保険料を負担する働き手が増えて賃金が持続的に上がれば、制度の安定性が増す。つまり、日本経済の成長こそ年金対策であり、就業を促進するという観点が制度改革で重要だ。本レポートでは年金制度の歴史を振り返りつつ、改革法案のポイントを解説する。合わせて特に重要な個別の論点と、制度のあるべき姿をシリーズで展望したい。

  • 東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)低迷企業に改善を要請しているのに加え、昨今の円安で海外の機関投資家も経営層との連携強化を志向しており、上場会社にとって企業価値向上が喫緊の課題となっている。こうした中、デロイト トーマツ グループはこのほど、「M&A Executive Forum Japan 企業価値向上のためのポートフォリオ リバランス」を開催した。経営者、社外取締役、アクティビスト、アドバイザーを代弁する登壇者が基調講演やパネルディスカッションを行い、企業価値向上や持続的成長の実現策について討議した。

  • 個人消費

    物価高に伴って節約志向が強まる中、前回のレポートでは消費マインドを何が支えるのかを探った。今回は、節約志向と、価値を認めるものには出費を惜しまないプレミアム志向を使い分ける「メリハリ消費」について論じる。具体的な手法として商品・サービスの品目別に見て節約志向とプレミアム志向のどちらが強いのかを、いくらまで支出できるかという「支払意思額 [1](WTP)」に着目して定量化を試みた。その結果、20代の消費者にとってもプレミアム志向が強い品目が存在することが分かった。また、米価急騰がその他食品の消費トレンドを転換させた状況や、日常的な節約の中にちょっとした贅沢を求める消費者の姿も浮き彫りになった。コンシューマー企業がメリハリ消費を見極めることは、不要な価格競争を避け、付加価値を訴求する変化対応力を磨く1つのヒントとなろう。

  • 米国の第2次トランプ政権は2025年1月の発足後、100日間での破壊的改革を意識したかのように、矢継ぎ早に政策を実施している。100日目となる4月29日以降、政策運営が巡航速度に入るのかが注視される。「100日後」を視野に入れ、日本の企業・産業が注視すべきポイントを数回に分けて整理したい。第1回は政権が打ち出した相互関税を取り上げる。特に、非関税障壁を標的とする米国の動きに焦点を当てる。

  • 2025年度予算案をめぐり、政府・与党は衆院で修正を条件に一部野党からの合意を取りつけ、成立を確実なものとした。当初予算案の修正は29年ぶりであり、政策決定プロセスが大きく様変わりしたことは注目に値する。本レポートでは、予算案をめぐる衆院での政党間協議を振り返り、少数与党政権下においてプロセスがどのように変容したか分析する。「自民1強」から穏健な多党化へと政治トレンドが移行している中、新しい政治情勢における企業の政策渉外活動はどのようにあるべきかについても考察したい。

  • デジタルやサステナビリティ対応の重要性が増し、日本の製造業は多様な技術の組み合わせで価値を創造する必要性に迫られている。国際競争力を再び強化するためには、外部から革新的な技術を取り入れ、オープンイノベーションにより製品ポートフォリオを強化、変革することが肝要である。このような中、オープンイノベーションのパートナーとして、大学の研究成果を活かして起業するディープテックスタートアップへの注目度が高まっている。その活躍分野は、環境、エネルギー、素材、バイオ、量子、宇宙などに拡大しており、国際展開に成功すればユニコーン企業へと成長するポテンシャルも見込まれる。製造業がスタートアップ連携の新手法ベンチャークライアントモデル(VCM)を活用しオープンイノベーションを成功させるためのポイントは何だろうか。ディープテックに造詣が深いMonozukuri Ventures代表の牧野 成将氏とデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)パートナーの木村 将之が、ディープテックの重要性やVCM適用のポテンシャルについて対談を行った。

  • 民間の団体が発行する排出枠、「ボランタリークレジット」への関心が高まってきている。環境意識の高まりから企業が自主的な温暖化対策の一環として利用しているのに加え、公的な規制の遵守にも活用可能になったからだ。一方で信頼性や質に問題があるとの指摘もある。こうした中、最も注目を集めている組織が、ガバナンス機関「Integrity Council Voluntary Carbon Market(IC-VCM)」だ。同機関は、「クレジットの信頼性に関する原則(Ore Carbon Principles, CCPs)」を定めたうえで、評価の枠組み「Assessment Frameworks(AF)」を踏まえ、CCPsに適格かどうかを審査している。適格認定を受けたボランタリークレジットは一定の信頼性が担保された存在として、市場の注目を集めると思われる。

  • 物質を構成する原子や電子など「量子」の特性を利用した量子コンピュータを取り巻く世界的な環境は近年、大きく変化した。研究開発の飛躍的な進展に伴い、各国で量子技術に関する国家戦略が策定・更新され、産業化を見据えたエコシステム形成の動きが加速しつつある。日本政府も2021~25年度の「第6期科学技術・イノベーション基本計画」で、量子技術を社会経済および安全保障上の国家戦略の一つに位置づけた。基礎的な研究開発から社会実装までを一貫して推進する戦略のもと、国際連携、人材育成、社会機運の醸成など様々な取り組みが産学官で動き出している。本レポートは、技術的な視点から語られることの多い量子技術の現状を、政策的観点から検証する。量子技術開発とビジネス創出に取り組んでいる企業や、参入を計画している企業の参考になれば幸いである。

  • 自民党内で有力議員が中心となり、新しく勉強会や議員連盟(議連)を立ち上げて政治的なかたまりをつくる動きが活発化している。派閥が事実上解消したことで、政策を軸とした新しい集団がこれからの党内力学を読み解くうえで重要なファクターとなるだろう。企業は、「次の総裁・総理」の政策に直結するこうした動きをフォローし、適宜適切なコミュニケーションをとっていくことが、ポスト派閥時代においては新たに求められる。