IT・デジタル

日本初となるAI法が今国会で成立する見通しである。開発・活用促進に重点を置きつつリスク対応と両立させる。罰則規定はないものの、民間の自主性を重視する従来路線からは転換する。海外では、米国トランプ政権が規制撤廃と積極投資にシフトする中で、2025年1月にはDeepSeekショックが起き、米中分断が深まっている。欧州では2024年に世界初の包括的なAI規制法が成立し、域外企業も違反すると厳しい制裁金を課される可能性がある。しかし、最近は欧州でも米中対抗を意識した大型投資発表が相次ぎ、風向きが変わってきている。このような中で日本企業が国際競争力を高めるには、アジャイルなガバナンスを構築した上で戦略的にAIを活用することが不可欠となる。

「2025年の崖」という言葉がある。経済産業省は6年前に発表した「DXレポート」で、この年には企業の基幹系システムの約6割が導入から21年以上経過する見込みであるため、放置すれば崖のように巨額な経済損失が発生すると警鐘を鳴らしていた。その2025年を実際に迎えて振り返ると、ERPのリプレイスや導入は一定程度進んだとい言える。一方で、転落を免れた企業が新たな課題に直面している。レガシーシステムを刷新しさえすれば崖を乗り越えられるとの風潮が広まったため、DXレポートの本質だったデジタル技術を活用した事業変革が疎かになった面があるのだ。企業は足元の課題に向き合い、競争優位性を高めるための経営基盤としてERPを活用し、本質的なDX実現を目指すべきであろう。

2023年4月に、政府は産業データ連携のイニシアティブ「ウラノス・エコシステム」の立ち上げを宣言した。これに伴い、車載バッテリーについて、温室効果ガス排出量を明示するカーボンフットプリントのデータを共有するプラットフォームが2024年5月に始動した。背景には欧州電池規則への対応があり、欧州ではGAIA-Xに関連した自動車業界のデータスペースCatena-Xが推進されている。経団連は10月に産業データスペース構築の促進に向けた提言を発表し、注目度が高まっている。規制対応に留まらない経済的なメリット創出、企業の対応力強化、国際協調など、議論すべき点は多い。2025年以降、官民連携によって産業の競争力強化に貢献するデータスペースの社会実装が進むことを期待する。