ESG

  • 2025年は、1985年の男女雇用機会均等法成立から40年、2015年の女性活躍推進法から10年となる節目の年である。女性の活躍に向けて官民で様々な取組みを実施してきたが、未だ男女格差は解消されていない。現状を打破するためには、企業の自助努力頼みとなっている現在の状況から、さらに踏み込んだ施策を講じていく必要があるのではないだろうか。本提言では、課題の全体像と求められる施策、そしてコーポレートガバナンス・コードの改定案を提示する。

  • 男女格差を評価するジェンダーギャップ指数で、日本は148ヵ国中118位、G7の中で最下位であるだけでなく、他のアジア主要国にも立ち遅れている。経済分野では、女性の役員や管理職の比率が低い。日本政府は「2025年に女性役員比率19%」など女性登用に関する数値目標を設定しているが、強制力がない努力目標のため、数字合わせに留まる企業もあり、男女格差の真の是正には不十分といわざるを得ない。女性が活躍する企業の方が業績が良いという調査結果が複数出ていることに加え、女性が活躍できない企業は投資家からの評価が下がり、人材獲得が難しくなるなどのリスクがあることも認識すべきであろう。実効性のある取り組みとして、少数派に一定の比率を割り当てる「クオータ制」の導入なども選択肢となり得るのではないか。

  • 企業に生物多様性や森林、土壌などの「自然資本」の評価と情報開示を求める動きが加速している。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が2023年9月に公表した最終提言を参照し、今後の自然資本開示の制度化に向けて企業が留意すべきポイントを整理したい。特に、企業が自然資本開示を進めるうえで、地域・自治体との連携や対話が重要になりそうだ。

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