デジタル・ガバメント

  • 全自治体が、住民情報系システムの標準化とガバメントクラウドへの移行を同時に行おうとしている。2025年度末までの短期スケジュール、コストアップになる運用費、継続する法改正対応など課題は多く、自治体やベンダーは苦慮している。政府が掲げた「コスト3割減」という目標にも疑問の声が上がる。しかし、標準化とガバメントクラウド移行の本来の目的は、少子高齢化が進む自治体の「2024年問題」をふまえ、データ連携・データ活用を実現することと考える。2026年度以降に目指すのは、公共サービスメッシュによる「スマホ60秒」という未来である。国、自治体、企業など関係者は、現在の巨大プロジェクトを推進するにあたり、この前提を共有しておきたい。

  • 政府はデジタル・ガバメントの実現を目指しており、デジタル技術を活用し行政のサービス向上や効率化を実現するGovtech(Government+Technology)が活性化している。現状、行政のIT調達においては参入障壁の高さやサプライヤーの集中が課題となっており、デジタルマーケットプレイス(DMP)計画が進んでいる。先行するイギリスではDMP導入後に多様なGovtech企業の参画が実現しており、日本においても、Govtechスタートアップのビジネス機会増大に繋がると期待できる。そのためには、DMPの成功はもちろん、スタートアップにとっての課題解決を進めていくことが必要である。

  • 政府や自治体が共通で利用するガバメントクラウドには外資メガクラウドが採択されている。2023年11月初頭時点では、デジタル庁はガバメントクラウドの選定を行っているが、要件が緩和されたことで日本企業が参入しやすくなるとして注目されている。国産クラウドが採択される最大の意義は経済安全保障にあると考察する。国が主権を持つソブリン・クラウドの議論が進められるべきと考える。

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