小林 明子

小林 明子 / Akiko Kobayashi

主任研究員

IT事業会社を経て、調査会社の主席研究員として15年以上IT市場及びデジタル技術の調査研究・分析に従事する。専門領域は、エンタープライズアプリケーション、自治体・公共向けIT・スマートシティ、先端テクノロジー・イノベーションなど。2023年8月にデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に入社し、DTFAインスティテュートに参画。

    201ページ目
  • 男女格差是正に向けたコーポレートガバナンス・コード改正の提言

    2025年は、1985年の男女雇用機会均等法成立から40年、2015年の女性活躍推進法から10年となる節目の年である。女性の活躍に向けて官民で様々な取組みを実施してきたが、未だ男女格差は解消されていない。現状を打破するためには、企業の自助努力頼みとなっている現在の状況から、さらに踏み込んだ施策を講じていく必要があるのではないだろうか。本提言では、課題の全体像と求められる施策、そしてコーポレートガバナンス・コードの改定案を提示する。

  • 変化する国内外のAI規制動向と日本企業の活用戦略

    日本初となるAI法が今国会で成立する見通しである。開発・活用促進に重点を置きつつリスク対応と両立させる。罰則規定はないものの、民間の自主性を重視する従来路線からは転換する。海外では、米国トランプ政権が規制撤廃と積極投資にシフトする中で、2025年1月にはDeepSeekショックが起き、米中分断が深まっている。欧州では2024年に世界初の包括的なAI規制法が成立し、域外企業も違反すると厳しい制裁金を課される可能性がある。しかし、最近は欧州でも米中対抗を意識した大型投資発表が相次ぎ、風向きが変わってきている。このような中で日本企業が国際競争力を高めるには、アジャイルなガバナンスを構築した上で戦略的にAIを活用することが不可欠となる。

  • ディープテックをイノベーションの源泉とするベンチャークライアントモデルの活用

    デジタルやサステナビリティ対応の重要性が増し、日本の製造業は多様な技術の組み合わせで価値を創造する必要性に迫られている。国際競争力を再び強化するためには、外部から革新的な技術を取り入れ、オープンイノベーションにより製品ポートフォリオを強化、変革することが肝要である。このような中、オープンイノベーションのパートナーとして、大学の研究成果を活かして起業するディープテックスタートアップへの注目度が高まっている。その活躍分野は、環境、エネルギー、素材、バイオ、量子、宇宙などに拡大しており、国際展開に成功すればユニコーン企業へと成長するポテンシャルも見込まれる。製造業がスタートアップ連携の新手法ベンチャークライアントモデル(VCM)を活用しオープンイノベーションを成功させるためのポイントは何だろうか。ディープテックに造詣が深いMonozukuri Ventures代表の牧野 成将氏とデロイト トーマツ ベンチャーサポート(DTVS)パートナーの木村 将之が、ディープテックの重要性やVCM適用のポテンシャルについて対談を行った。

  • 「2025年の崖」から転落しなかった企業がすべきこと

    「2025年の崖」という言葉がある。経済産業省は6年前に発表した「DXレポート」で、この年には企業の基幹系システムの約6割が導入から21年以上経過する見込みであるため、放置すれば崖のように巨額な経済損失が発生すると警鐘を鳴らしていた。その2025年を実際に迎えて振り返ると、ERPのリプレイスや導入は一定程度進んだとい言える。一方で、転落を免れた企業が新たな課題に直面している。レガシーシステムを刷新しさえすれば崖を乗り越えられるとの風潮が広まったため、DXレポートの本質だったデジタル技術を活用した事業変革が疎かになった面があるのだ。企業は足元の課題に向き合い、競争優位性を高めるための経営基盤としてERPを活用し、本質的なDX実現を目指すべきであろう。

  • 「2025年女性役員比率19%」だけが目標ではない 内実ある男女格差是正を

    男女格差を評価するジェンダーギャップ指数で、日本は148ヵ国中118位、G7の中で最下位であるだけでなく、他のアジア主要国にも立ち遅れている。経済分野では、女性の役員や管理職の比率が低い。日本政府は「2025年に女性役員比率19%」など女性登用に関する数値目標を設定しているが、強制力がない努力目標のため、数字合わせに留まる企業もあり、男女格差の真の是正には不十分といわざるを得ない。女性が活躍する企業の方が業績が良いという調査結果が複数出ていることに加え、女性が活躍できない企業は投資家からの評価が下がり、人材獲得が難しくなるなどのリスクがあることも認識すべきであろう。実効性のある取り組みとして、少数派に一定の比率を割り当てる「クオータ制」の導入なども選択肢となり得るのではないか。

  • ウラノス・エコシステムにみるデータ連携・データスペースの新潮流

    2023年4月に、政府は産業データ連携のイニシアティブ「ウラノス・エコシステム」の立ち上げを宣言した。これに伴い、車載バッテリーについて、温室効果ガス排出量を明示するカーボンフットプリントのデータを共有するプラットフォームが2024年5月に始動した。背景には欧州電池規則への対応があり、欧州ではGAIA-Xに関連した自動車業界のデータスペースCatena-Xが推進されている。経団連は10月に産業データスペース構築の促進に向けた提言を発表し、注目度が高まっている。規制対応に留まらない経済的なメリット創出、企業の対応力強化、国際協調など、議論すべき点は多い。2025年以降、官民連携によって産業の競争力強化に貢献するデータスペースの社会実装が進むことを期待する。

  • 海外事例研究から見るCVCの課題と戦略

    政府の「スタートアップ育成5か年計画」も追い風になり、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)に取り組む事業会社は増加している。しかし、新規事業創出や新技術獲得という目的の達成には難航しているケースが多い。海外で先行している企業は、経営環境の変化に対応した事業ポートフォリオの再編、最新技術の取り込み、新たな成長事業の確立などに際してスタートアップと連携し、持続的な成長に繋げている。米国の大手テック企業に限らず、伝統的な業種でもこうした成功例が多い。海外との比較を踏まえ、日本企業に、①大胆な規模拡大、②スタートアップとの相互利益獲得、③グローバル化を提言する。これらの戦略が好循環を生むことで、スタートアップとの協業によるオープンイノベーションが加速すると考える。

  • スタートアップ協業の新手法「ベンチャークライアントモデル」 CVCやアクセラレーションプログラムとの違いとは

    経営環境の急速な変化、DX、生産性向上、脱炭素対応など課題が山積する中、多くの企業が競争優位の源泉となる技術やソリューションを持つスタートアップとの協業を通じたオープンイノベーションを目指している。政府も予算約1兆円の政策「スタートアップ育成5か年計画」を推進する。ところが、スタートアップとのオープンイノベーションの成功事例は必ずしも多くは聞かれず、実現に苦しむ企業も多いのが実情である。そこで、スタートアップとの協業において世界的に注目が高まっているベンチャークライアントモデルについて、従来手法との違いと革新性を分析する。

  • 選挙にAIフェイクコンテンツが氾濫 事業者の結束で対策を

    2024年は世界的な選挙イヤーだ。各国で重要な選挙が目白押しで、11月には米国大統領選も控える。生成AI登場後の選挙では、ディープフェイクの拡散を止めることができず、対応が急務となっている。1月に行われた台湾総統選では、多くの有権者が外国からの発信を含む大量の偽コンテンツを目にした。AI市場が活況な日本でも、民主主義の柱である選挙の信頼性を守ることは極めて重要となる。欧州はプラットフォーム事業者などに対して厳しい規制を課すが、日本では法規制(ハードロー)による対応は馴染みにくい。AI技術の選挙への悪用を防ぐために締結された技術協定「ミュンヘン・アコード」を参照し、大手IT企業の連携による研究開発などが求められると考える。

  • 日本経済および日本企業の競争力に関する調査レポート

    バブル全盛期以降の日経平均株価最高値更新、大手企業の賃上げなどのニュースが相次いでいる。こうした中、本調査では、ビジネスパーソンが日本経済および日本企業について「競争力が低い」と認識していることが明らかとなった。競争力強化に向けて重要な政策・施策のトップには「技術開発やイノベーションへの投資」「デジタル化、DXの推進」が挙がる。経済成長のために重要な技術としてはAI、次世代エネルギー・環境エネルギーの回答率が特に高い。日本経済・日本企業の競争力を向上させるためには、これらの新技術の開発や活用などを手段とした変革(DX、GX)を進めることは必須といえる。しかし、ビジネスパーソンは自身の勤務先企業を保守的と認識していることもわかった。