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自由民主党総裁の高市早苗氏を首班とした新内閣が発足し、新たな政策テーマが相次ぎ打ち出されている。労働分野で注目すべきは「労働時間規制の緩和の検討」だろう。本稿では、2019年施行の働き方改革関連法によって、正社員の労働時間がどのように変化したのかまず確認したうえで、規制緩和のポイントを整理する。そこから見えてくるのは、人口が減少する日本で潜在成長率を引き上げるには、労働時間の規制緩和は避けて通れないテーマではないかということだ。


コメを筆頭に食品の値上がりが社会的な関心事になっている。2025年に入って、消費者物価指数(CPI)の伸びは主要国で最も高くなり(※1)、エンゲル係数は43年ぶりの高水準だ(※2)。物価高対策として消費税が焦点になり、与野党は給付金支給や減税を検討している。食品値上がりの経路と家計へのインパクトを概観したうえで、欧州の事例をもとに物価高対策を整理・検討したい。

2024年の合計特殊出生率は1.15と1947年以降で最も低くなった(※1)。結婚の減少に伴い第1子の出生率が下がっているのが主因だ。1990年以降は比較的安定していた第1子出生率が近年低下していることで、少子化対策における結婚支援の重要性が増すのに加え、事実婚など社会規範の捉え方も影響を受ける可能性がある。本稿では、データに基づき少子化の現在地を確認していく。

政府が2025年5月に国会提出した年金制度改革法案について、当初盛り込まれなかった基礎年金(国民年金)の給付水準底上げを明記することで与野党が合意した。本稿では、この底上げ措置について論じたい。

政府は、今国会に年金制度改革法案の提出を検討している(※1)。現行制度になってから40年が経ち、働き方や家族形態などの変化にどう対応するかが改革のポイントになる。公的年金は保険料を負担する働き手が増えて賃金が持続的に上がれば、制度の安定性が増す。つまり、日本経済の成長こそ年金対策であり、就業を促進するという観点が制度改革で重要だ。本レポートでは年金制度の歴史を振り返りつつ、改革法案のポイントを解説する。合わせて特に重要な個別の論点と、制度のあるべき姿をシリーズで展望したい。

2025年は「次元の異なる少子化対策」が本格的に稼働する年だ。拡充した児童手当が年間を通じて支給されるとともに、未就学児の親が柔軟に働けるよう企業に求める改正育児・介護休業法などが施行される。急速に進む少子化に歯止めをかけるには経済・仕事面での育児負担軽減に加え、子どもを持ちやすくする環境づくりを一層進めていく必要がある。

2025年は雇用やデジタル、経済安全保障などの領域で制度が変わる 。企業や働き手に影響を及ぼすと思われる主な法律をDTFAインスティテュートがピックアップし、施行時期や内容を整理した。

企業が人手不足に対応するために賃金を引き上げる傾向が強まってきた。厚生労働省の調査によると、企業は賃上げにあたって、雇用や労働力の確保・維持を重視する姿勢を強めている。女性と高齢者の就労増では労働需給を補うのが困難になったことが賃上げにつながっている可能性がある。余剰労働力が底をつき、賃金が上昇する「ルイスの転換点」に似た状況になってきたのだろうか。

世界の多くの国で少子化が進んでいる。2023年には日本の合計特殊出生率が統計開始以来、最も低くなり、フランスでも第二次大戦後で最低に近い水準に落ち込んだ。こうしたなか、合計特殊出生率が改善している国として注目を集めているのがハンガリーだ。同国の家族政策を10年以上リードしたKatalin Novak元大統領と、世界的に著名な人口減少の研究者であるStephen J. Shaw氏を有限責任監査法人トーマツが招き、世界が直面する少子化と人口減少、そして日本の未来を議論した。
