重要鉱物


日本とアフリカの関係強化を目指す、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が2025年8月20~22日、横浜で開催される。経済成長が続き、豊富な資源を有するアフリカ諸国は今世紀半ば以降、経済・地政学的な影響力を増していく。一方、政治・社会リスクと国際情勢の緊迫、日本政府・企業のリソース面などでの制約から、アフリカに対する開発と投資は容易ではない。国際秩序の大きな変革期を迎える中、日本政府はTICADを基盤とした外交戦略の進化と深化が必要であろう。アフリカ新戦略の策定に向け、3つのポイントを提言したい。

エネルギー安全保障は、もはや化石燃料や中東情勢にとどまらない。デジタル化や脱炭素化の急激な進展により、リチウムやレアアースなどの重要鉱物が新たな戦略的資源としてその存在感を高めている。特に近年、中国など資源保有国による輸出管理の強化や自国産業育成のための重要鉱物の囲い込みなどによって供給リスクが顕在化している。こうした中、日本を含む西側諸国は鉱物資源の安定供給を共通の最優先課題としており、連携強化の機運が高まっている。今、日本に求められるのは、高度な技術力と国際的な信頼を活かしながら、価値観を共有する国々との連携を主導し、資源保有国との戦略的パートナーシップを構築していくことだろう。