グローバルウォッチ

欧州委員会は2023年11月、重要原材料法案(the Critical Raw Materials Act: CRMA)が政治合意に達したと発表した。重要鉱物の確保を目指す法整備だ。各国政府は重要鉱物へのアクセスを確保するために、鉱山開発や国際連携など様々な施策を打ち出している。欧州連合(EU)も例外ではなく、重要原材料法案は、重要鉱物の囲い込み政策の一環である。本稿では、重要原材料法案を詳述したうえで、重要鉱物を取り巻く各国の熾烈な獲得競争について分析する。

欧州連合(EU)は、2023年8月、バッテリー規則を施行した。2024年から段階的に適用される。EU域内に持続可能なバッテリーのバリューチェーンを構築することで、脱炭素社会の実現を目指す。バッテリー規則は、EU域内で販売される全てのバッテリーに対し、ライフサイクル全体にわたる環境、資源循環、人権などに関する情報の開示を義務付ける。企業には、データにもとづいてサプライチェーンを管理することが求められる。

2023年10月1日、欧州連合(EU)の炭素国境調整メカニズム(CBAM)の移行期間が開始した。CBAMは、いわゆる国境炭素税と呼ばれるもので、気候変動の対策が不十分な国から欧州経済領域(EEA)域内への輸入品に対して、“関税”が賦課される。CBAMの導入は世界初の取り組みであり、鉄鋼・アルミニウム業界を中心に産業界は対応に迫られている。対象製品や温室効果ガス(GHG)排出量の計算方法などを含め、EUの今後の運用を注視する必要がある。