論点

政府は、今国会に年金制度改革法案の提出を検討している(※1)。現行制度になってから40年が経ち、働き方や家族形態などの変化にどう対応するかが改革のポイントになる。公的年金は保険料を負担する働き手が増えて賃金が持続的に上がれば、制度の安定性が増す。つまり、日本経済の成長こそ年金対策であり、就業を促進するという観点が制度改革で重要だ。本レポートでは年金制度の歴史を振り返りつつ、改革法案のポイントを解説する。合わせて特に重要な個別の論点と、制度のあるべき姿をシリーズで展望したい。

米中の覇権争いやウクライナ戦争など地政学的緊張が高まる中、「グローバルサウス」の重要性が高まっている。経済的な理由だけでなく、経済安全保障の観点からも日本には官民を通じたグローバルサウス諸国との連携が求められる。本稿では、日・ASEAN関係に焦点を当てる。ASEANは日本企業にとって単なる安い労働力や労働集約型の製造拠点から、グローバル・バリューチェーンの要へと変化してきた。そしてこれからは、互いの課題を解決するために「共創」という付き合い方があることを示したい。

企業に生物多様性や森林、土壌などの「自然資本」の評価と情報開示を求める動きが加速している。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が2023年9月に公表した最終提言を参照し、今後の自然資本開示の制度化に向けて企業が留意すべきポイントを整理したい。特に、企業が自然資本開示を進めるうえで、地域・自治体との連携や対話が重要になりそうだ。