民芸的ブランディングの可能性
日本発の独創的な思考である民芸思想に注目し、それが現代社会の中でどのような意味を示すか、民芸を活用したブランドを軸に考えます。


前回の記事では、「民芸的ブランディング」の構成要素の活用事例と、「三方よし」の観点でユーザー、企業と社会・環境に対する可能性を解説しました。今回は、「民芸的ブランディング」に近しい事例をご紹介し、「民芸的ブランディング」をどのように活用できるかを考えていきます。

前回の記事では、民芸についての概念と事例を紹介し、民芸思想を活用した「民芸的ブランディング」の可能性を示唆しました。今回はいっそう踏み込み、民芸からインスピレーションを得て、ブランディングへの応用を試みたいと思います。まずは、ブランディングと民芸を構成する要素を比較しながら説明を行います。次に事例からどのような効果を期待できるか「三方よし」という考えをもとにして言及します。

大量生産とグローバリゼーションの時代には、造形と機能の標準化が注目されてきました。できるだけ多くの人のニーズへ対応しつつ、生産性・効率性・収益性を重視した思考です。一方で、ミレニアル世代やZ世代などの人々が、自分らしさ・社会的な意義を重要視するようになり、画一的な機能と造形のみでは対応しきれなくなりつつあります。価値観の変化に対応しながらも愛され続けるブランドをかたち創るためには、どうすれば良いのか?本質的な問いですが、ほんの1世紀過去に遡るとヒントになるような実例が見られます。それまで見向きもされず、埋もれていた価値を見出し、現代においても多くの人々を魅力する「民芸」です。 本連載では、日本発の独創的な思考として『民芸思想』に注目し、民芸品の紹介などを通じて、それが現代社会の中でどのような意味を示すかを提示します。また、ユーザー、企業と社会環境をデザインする考え方「三方よし」という概念にも触れ、民芸思想を活用した民芸的ブランディングの可能性を提案します。