
Ira Kalish
Deloitte Touche Tomatsu
チーフエコノミスト
米国の家計支出、所得を上回るペースで増加を続ける
米国の家計は、生活水準を維持しようとする姿勢が明らかです。過去7カ月の各月において、家計支出は個人の可処分所得を上回るペースで増加しました。その結果、当然ながら、個人の貯蓄率は着実に低下し、11月には3.5%となりました。これは2022年10月以来の最低水準です。加えて、過去2カ月では、家計支出の増加分の約4分の1は医療費に充てられていました(医療費の一部は保険会社によって補填されています)。この情報は、個人所得と個人支出、またFRBが最も重視するインフレ指標に関する米国政府の最新の報告書に基づくものです。詳細を見ていきましょう。
11月の実質可処分個人所得(インフレ調整済み税引き後の所得)は、前月比でわずか0.1%の増加となりました。さらに、過去1年間でほとんど変化していません。同所得は、前年比でわずか1%上昇に過ぎませんでした。それでも、11月の実質個人消費支出は前月比で0.3%増加しました。さらに、実質消費支出は前年比で2.6%増加しています。
それに加えて、耐久財への実質支出は10月から11月にかけて0.6%増加しました。非耐久財への支出は0.5%増加し、サービスへの支出は0.2%増加しました。
所得と支出に関する報告書には、FRBが最も重視するインフレ指標である個人消費支出デフレーター(PCEデフレーター)のデータが含まれていました。この指標は、11月に前年比で2.8%上昇しました。これは9月も同じで、2024年4月以来最も高い水準でした。つまり、過去1年半の間にインフレは緩やかに加速してきました。
変動の大きい食料とエネルギー価格を除いたコアPCEデフレーターは、前年比で2.8%上昇しており、これは過去8カ月間とほぼ同程度の水準でした。したがって、基調インフレは、FRBの目標である2%を依然として大きく上回る水準で明らかに高止まりしています。さらに、FRBは、関税引き上げの一時的な影響により2026年にインフレが加速するとの予想を示しました。加えて、経済はこれまでの予想よりも好調に推移してきました。そのため、経済の弱さを示す兆候がない限り、FRBはこれ以上利下げを行う必要はないという説得力のある主張もできるかもしれません。
一方、政府は、前年比で耐久財価格が1.2%、非耐久財価格が1.6%、サービス価格が3.4%上昇したとも報告しました。耐久財のインフレに関しては明らかに加速しましたが、サービスのインフレは比較的安定していました。耐久財のインフレ加速は、企業が関税コストの一部を顧客に転嫁している影響を反映しているとみられます。11月の耐久財のインフレ率は2022年11月以来最も高い水準になっています。パンデミック期間を除けば、耐久財のインフレ率は1995年3月以来最も高い水準となっています。
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翻訳者
合同会社デロイト トーマツ
ファイナンシャルアドバイザリー
増島 雄樹
合同会社デロイト トーマツ
ファイナンシャルアドバイザリー
高島 理沙子





