日本経済トラッキング――マスジマの目
トップフォーキャスターが国内外の経済・金融の勘所を可視化して、不確実な政策の先読みをしていきます。


米国の景気後退懸念をきっかけに、過度な円安の修正が進み、日経平均株価は週明けの8月5日、過去2番目の下落率となりました。金融市場を安定させるための金融当局からの発言が相次ぎましたが、為替・株式市場では乱高下が続いています。今次局面で明らかに変わったのは、金利や不確実性(VIX)に対する為替の感応度です。危機時の円買いと一時相関が薄れていた日米金利差の為替への影響が復活しました。現時点で日米経済の基調が大きく変化したとは判断しておらず、日本経済の先行きは緩やかな回復を見込みますが、企業収益や家計消費の下振れリスクには警戒が必要です。

日本銀行は3月19日の金融政策決定会合でマイナス政策と長短金利操作(YCC:イールドカーブコントロール)の撤廃、株式ETFとJ-REITの買い入れを終了しました。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社のプリンシパルエコノミスト増島雄樹が解説します。

12月の金融政策決定会合で日本銀行の声明文が前回から修正されなかったことを受けて、円の対ドル相場は1ドル=142円後半から一時143円後半まで円安が進行しました。その後(12/22)公表された11月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2.5%上昇と10月の2.9%から大幅に減速し、日銀が必ずしも金融政策の正常化を急ぐ状況には無いように見えます。筆者のメインシナリオは来年4月のマイナス金利解除ですが、条件によっては来年早期にマイナス金利が解除される可能性はあると考えています。

9月の金融政策決定会合で日銀の政策変更なしの公表を受けて、ドル円は148円台まで円安ドル高が進みました。9月9日の読売新聞の植田総裁インタビューを受けて、一部の市場参加者が早期の政策変更の可能性を意識して円高に揺れた反動と見られます。なぜ、市場の思惑と実際の会合の結果に乖離が生まれたのでしょうか。本稿では日銀の政策修正のシグナルとなるものを探ります。


円安を背景にインバウンドの増加と日本人の海外旅行の手控えで、国内観光需要が回復しています。2023年のプラス効果は前年比でGDPの0.5%になると見込まれます。

日本経済は悲願のパンデミック前のピーク超えを果たしました。円安を背景にしたインバウンド(訪日外国人)による下支えが効いた格好です。ただ、その変化をつぶさに見ると依然、政府支出と外需がけん引しており、決して筋肉質な成長とはいえません。今後は、海外経済が景気後退・減速する中、輸出の減少や物価上昇下での日用品の買い控えのリスクもあり、緩やかに景気が減速し、リスクが上下にある不透明な状態が続きそうです。