欧州

  • 米国の第2次トランプ政権による高関税措置や国際機関からの脱退、ベネズエラでの軍事作戦によって、国際情勢は緊迫の度合いを増した。第2次世界大戦後、米国が主導してきた国際秩序が揺らぐ中、国際経済・金融の関係者の間では、世界情勢を見極めるための場として、「ミュンヘン安全保障会議(MSC)」に対する関心が高まっている。「Under Destruction(破壊の最中)」に開催された2026年のMSCを振り返り、「モジュール型の枠組み」、「トータル・ディフェンス」、「AI(人工知能)台頭」という3つの論点を整理したい。3つの論点は、MSC閉幕直後に始まった米国によるイラン軍事攻撃や、今後の国際情勢を分析するための補助線となるだけではなく、日本の政策・企業の戦略を固めるうえでもヒントとなる。

  • 膠着化するウクライナ戦争と米国のトランプ2.0がもたらす同盟政策の不確実性―。この2つのショックに直面する欧州は今、戦後最大の安全保障政策の転換期にある。欧州連合(EU)は、「軍事的」アクターとして歩み始め、自らの役割を拡大している。防衛を産業政策の中核に据え、欧州の統合を進めるべく、総額8,000億ユーロ規模の防衛投資計画を始動させた。しかしその実現には、加盟国間の利害対立や市場の分断、そして米国との摩擦という構造的課題が立ちはだかる。米国の安全保障上の関与が段階的に後退していくシナリオが現実味を帯びる中、欧州は自律的な防衛基盤を構築し、対等なパートナーとして大西洋同盟を再定義できるかどうかが問われている。

  • 第2次トランプ政権による米国の政策変更は、欧州に大きな動揺をもたらしている。現在、米欧関係は、貿易、防衛・安全保障、ウクライナ問題、選挙介入、デジタル規制、気候変動といった多岐にわたる領域で摩擦が同時多発的に生じ、かつてない緊張状態にある。こうした衝突は一過性のものではなく、大西洋の絆の性質そのものを根本から変容させるリスクを孕んでいる。欧州は、トランプ2.0にどう向き合うのか。最大の焦点は、最も強力な報復措置とされる反威圧措置(ACI)を行使するかどうかであり、欧州の本気度を内外に示す試金石となる。

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