欧州

欧州の自動車産業は、1世紀にわたり世界のリーダーであり続けてきたが、今、その地位は揺らぎつつある。需要の低迷、EV転換の遅れ、中国の台頭――。これらの課題を乗り越えなければ、欧州のリーダーシップは終焉を迎えるかもしれない。関税引上げなど保護主義的措置では限界があり、技術革新や産業基盤強化といった中長期的な視点が求められる。

近年、地球温暖化対策への取組みにおいて温室効果ガス(GHG)排出量を正味でゼロにする「ネットゼロ」を目指す動きが広がっている。政府だけではなく地方自治体、企業なども、自主的に設定したネットゼロ目標の目標達成に動き始めている。ネットゼロではGHG排出量を可能な限り削減する一方、削減が困難な排出量については大気中からCO2を除去することで、排出量と除去量を均衡させる。GHG排出量の削減だけではなくCO2除去も重要なため、除去に関連する取組みや技術への関心が高まって来ている。こうした中、EU では2024年4月に排出枠の取引を活用して除去の導入を支援する制度が、欧州議会において正式に採択された。今後、多方面に影響を及ぼす可能性もある。

グローバルに展開する日本企業にとって、欧州議会の右傾化は、自国優先の保護主義への対応で負担が増すリスクがある。一方で、環境重視から経済重視へのシフトや対中の経済関係の再評価による規制強化など、漁夫の利を得られるチャンスもある。M&Aを含む企業の投資計画やポートフォリオの再構築を考える上で、今回の欧州議会選挙の結果が経営判断の分水嶺となるかもしれない。