四国中央市のシティプロモーションは、2年目に突入し新局面を迎えています。昨年度の「18っ祭!」の成果を踏まえ、本年度は高校生、地元企業、市職員が一体となって、より包括的で多角的な取り組みへと舵を切っています。そこで今回は、本年度1回目のワークショップに参加した高校生、地元企業、市職員の方々に四国中央市への想いやワークショップに参加した感想について伺いました。

高校生目線で考える自身の将来とまちの未来

高校生:津留愛加さん、寺尾楓翔さん、横尾海地さん、西川尚宏さん、星野陽大さん(左手前から時計回りに)

――ワークショップに参加してみていかがでしたか。

津留:地域に対する想いや意見を個人で考えていても、グループで話し合うことはあまりないので、すごく良い機会だったなと思いました。

寺尾:暮らしているまちについて改めて考えることは普段ありません。四国中央市の良いところやこうしたほうががいいと感じるところなどを考え直す良い機会だったと思います。

横尾:普段考えない議題についてワークショップで話し合ってみると、自分とは全く違う意見やイメージをみんなが持っていることがわかって、とても面白いと思いました。

西川:四国中央市に住んでいても自分たちが把握しきれてない課題や魅力を見つめ直す機会ができてとても良かったです。四国中央市のイメージをメンバーが1つずつアイデア出ししていって、やがて未来のイメージへと広げていくやり方を楽しく感じました。

星野:学校で話し合う場合は、同じ学生として似たような意見が出やすいと思います。今回のワークショップでは社会人の方が多く、学生と違った意見にたくさん触れる機会になりました。実際に働いている人たちが考える視点は学生の自分たちとは違うのだなと実感しました。

――18歳で市外へと離れていく人が多い四国中央市で取り組んでいるシティプロモーションについての印象をお聞かせください。

津留:私はまだ将来の進路や、今後まちとどのように関わりたいかは具体的に見えていないのですが、受験や進学・就職を通して四国中央市のまちづくりを考えていけたらと思います。

寺尾:父が地元で会社を経営していて、将来はその会社を継ぎたいと思っています。人生経験も含めて経営学を学ぶため一度都会に出るつもりです。このまちだけでは学べないことや、都会で様々な考え方に触れる経験をして四国中央市に戻りたいと思っています。今回のワークショップのような機会を通じて、多様化の社会に対応できる体験を増やしていきたいです。

横尾:進学では経営系の大学で学びたいと考えています。学校生活では社会人の方々と活動する機会はあまりないので、人生経験が豊富な方と触れ合える地域の活動に関わっていきたいと思いました。大学を卒業したら地元に帰ってきてまちを盛り上げたいなと思っているので、地域の活性化につながる勉強などもしてみたいです。

西川:今日の話し合いでは、Uターンや観光客の増加がテーマにありました。ただ、観光客にもう一度訪れてもらうためには観光スポットも大事かもしれませんが、衛生環境が良いきれいなまちであるかどうかがより大切だと思います。市民として清掃ボランティアに参加してそのまちを美しくしていくことが観光客を増やす第一歩になると考えています。将来地元に戻ってきたらまちを清掃するボランティアに積極的に参加していきたいです。

星野:子どもの頃から四国中央市の地元の祭りが好きで、毎年参加しています。先日、祭りに参加したとき新社会人の方と話をする機会があり、祭りが好きで四国中央市に戻るため地元企業に就職したという方もいると知りました。もし進学で市外に出ることになっても都会で学んだことを四国中央市で生かすため、祭りを盛り上げる地元企業に就職するのも選択肢の1つだなと思っています。

地元企業として地域貢献を考えるきっかけに

企業参加者(株式会社今村紙工):日野永遠さん

――ワークショップに参加した感想はいかがでしたか。

日野:松山出身で就職の関係で四国中央市にご縁があり暮らしています。紙の歴史や水引が名産であるといったイメージはありましたが、実際に資料を通して詳しく学ぶことができて参加して良かったなと感じました。

地元企業の方々と机を囲んで四国中央市について共通の話題で話し合うのは本当に貴重な体験です。会話していて楽しいですし、地元で働いている方の四国中央市に対する様々な視点を学べて新鮮でした。例えば、お子さんのおられる参加者の育児を通じたまちへの印象など聞けて面白かったです。

――今回は社会的投資収益率(SROI)の手法を取り入れたワークショップでしたが、グループワーク自体はいかがでしたか。

日野:大きいテーマから徐々に小さいテーマへと、どんどんアイデアを出していく作業は、慣れていないこともあって少し難しいと感じる部分もありました。ただ、グループのメンバーの方たちから次々と意見が出てきて、触発されました。自分の中のイメージと相手のイメージとが、この場でリアリティあふれる形でさらに発展する意見も出てきました。四国中央市に対するイメージが次第に細分化されていって、詳しく把握できたと感じています。

――ワークショップの終わりにグループ別で発表がありましたが、印象に残っていることはありますか。

市職員グループの発表で「都会的なまちにしたい」という意見が非常に興味深く、私の中での四国中央市のイメージと異なっていたことに気付きました。市職員の方たちは都会的な未来構想で業務されているのだなと、強くイメージに残りました。

――前回の「18っ祭!」についてはどんな印象をお持ちですか。

日野:前回の開催当日は予定が合わず実際に足を運ぶことができず残念でしたが、公式Instagramを通して準備段階から情報が発信されていたのは知っていました。高校生が主体となって企画から作り上げていく様子を見ていて、私が高校生時代にはそういった経験がなかったのですごいなと感じています。

学生の頃から地域で様々な刺激を受けながら、自分たちでイベントをつくる経験は、高校生にとって大変勉強になると思います。SNSを通して、自分も高校生の体験を共有できて新鮮な気持ちになりました。高校生たちには「18っ祭!」のような経験をたくさんしてもらって、主体性と自信を持って社会に旅立ってほしいです。

――シティプロモーションに対するイメージをお聞かせください。

日野:シティプロモーションを通して、四国中央市の行政や企業、学校、地域などが連携してまちが盛り上がっていくのは歓迎します。特に、まちづくりが盛り上がると、若者の就職面で地元企業を検討してもらえる機会が増えるのではないでしょうか。

まちに対する愛着や誇りは、1人ひとりが醸し出す雰囲気に現れると思っています。SNSの写真を通して見ていても、地元に愛着を持って暮らしている気持ちは表情に出ているなと感じるので、「18っ祭!」やシティプロモーションでも大切な視点かもしれませんね。

ワークショップでまちの魅力と若者たちの思いを再認識

市職員:鈴木優子さん、江口舞奈さん、谷紅音さん、合田遼さん、山下尚悟さん、宮崎博行さん(左手前から時計回りに)

――市職員として今回のワークショップに参加してみていかがでしたか。

鈴木:今日こういったワークショップを受けさせていただいて、自分の住んでいるまちの魅力を再発見できたり、他の参加者の方のお話を聞いて「こういういいところもあったんだ」と考えるきっかけになったりしたことは、大変勉強になったと思っています。

江口:市の魅力を再発見したり、様々な方々のお話を聞くことができたり、非常に勉強になりました。

谷:今まで自分が知らなかった市の観光地や魅力を知ることができたので、今後の仕事に生かし、四国中央市の魅力をさらに勉強していきたいと思います。

郷田:最初は「まちの魅力を挙げていってください」と言われてもすぐに出てこなかったのですが、周りの方から伺う魅力を聞くと、「そういう素敵なものもあったね」と気付きました。改めて今回のワークショップで再認識した魅力的なスポットを、もう一度訪ねてみたいと思いました。

山下:このワークショップを通して、10年後の四国中央市がどんな形になっているのか、とても想像が膨らみました。皆さんが出してくれた色々なアイデアを聞いて、「こんなまちにしたい」っていう未来へのイメージが生まれました。

宮崎:参加するまでは「ワークショップってなんだろう」と少し身構えていた部分がありました。しかし、実際に参加してみると、付箋を使ったアイデア出しの手法が取り入れられた参加しやすいワークショップだったので安心しました。また、まちの魅力をたくさん再発見したり、今後のまちづくりを考えたりしてていくうえでも、大変貴重な時間でした。

――「18っ祭!」の印象や今年度以降への期待はありますか。

宮崎:「18っ祭!」の印象は、高校生が主体になって若者がこれからどういったまちにしていきたいか、理想をイベントで形にしてくれるものだと思っています。高校生の熱い思いをしっかり反映させられるイベントになればうれしいですね。今後は、「18っ祭!」に参加してくれた高校生たちも、ゆくゆくは進学・就職で市外に出るかもしれませんが、いずれUターンする結果になることがイベントの成功になるだろうと期待しています。

――四国中央市のシティプロモーションについてどんな印象がありますか。

宮崎:現時点で、シティプロモーションの観点において四国中央市はまだ走り出したばかりです。本年度で制作するロゴのワークショップも含めて、市をPRできる多彩なコンテンツを具体化していければいいと考えています。例えば、SNS戦略で公式Instagramアカウントを運用するといったアイデアも提案していきたいです。一例として、移住者向けのコミュニティや「四国中央市ファンクラブ」のような、メンバー制のオンラインサロンを検討していくのも面白いのではないかと感じています。

――今回のワークショップで一番盛り上がったのはどんなところですか。

郷田:話し合いの中で「都会的」という言葉がキーワードになりました。10年後の未来には高層ビルがあったり四国新幹線が走っていたりするような、将来の四国中央市を私たちで創造していきたいという話題で盛り上がりました。

――皆さま、本日はありがとうございました。

DTFA Times編集部