愛媛県の四国中央市では「若者が帰りたくなる四国中央市を創る」をテーマにシティプロモーションを展開しており、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は、本プロジェクトに企画立案から携わっています。今回は3月5日に開催されたキックオフイベント「18っ祭!」の様子をレポートします。
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伝統工芸の水引を使ったセレモニーで開幕
「18っ祭!」は、18歳の高校生が中心となり、企画から運営までを担当したイベントです。イベントの司会や受付、ステージの裏方をはじめ駐車場や周辺会場の道案内など、「18っ祭!」Tシャツを着た高校生が役割分担をして参加する様子が印象的でした。
当日午前10時、四国中央市役所1階において「18っ祭!四国中央市シティプロモーション幕開け式典」がスタートしました。現代美術家・風間天心氏による巨大な水引アート作品「むすひのくに」が式典会場を華やかに彩り、市長・副市長、市議会議長・副議長が臨席するなか、イベントの主役である高校生とアーティストも参加しました。
まず、高校生代表3名から、普段接点のない市内の高校生が「18っ祭!」をきっかけとして、アーティストの力も借りながら今日の開催に至った経緯や、市内外の多くの人に町の魅力を発信していきたい、といった挨拶がありました。続いて、市章にちなんだ3色の水引の輪を市長や議長らと高校生が結び合わせるセレモニーが行われました。最後に金の水引で水引アート作品に水引の輪を飾り付けると、会場から盛大な拍手が起きました。
市長はスピーチで「四国中央市は誕生から18年を迎え、18歳の高校生と同じ年です。このシティプロモーションを通して、四国中央市の町の魅力を発信し、様々な人にインパクトを与えていきたい。」と語りました。
式典の最後には、イラストレーター鷲尾友公氏によるビジョンマップとミュージシャン・nabeLTD氏制作のオリジナル音源による、約9分間のコラボ動画の初公開がありました。地元で採取した祭り囃子や鉦(かね)の音を取り入れた音楽が流れるなか、伝統工芸の紙漉きや紙工場の煙突といった市の日常のスナップ写真も挿入されており、市の未来を描く壮大なビジョンマップが映し出されました。
ダンスや演劇など高校生が主役の音楽祭も開催
市役所庁舎に隣接する交流棟で行われた高校生主体の音楽祭では、ダンスや演劇をはじめ、けん玉パフォーマンスやアフリカンカーニバルなど、地元の高校生や音楽グループによるパフォーマンスが続きました。ヘアメイクの発表では、カラーやウィッグ、水引をあしらったアクセサリーなど、多彩な趣向をこらした高校生モデルが次々とステージに登壇し、会場を沸かせました。
午後になると、nabeLTD氏によるライブパフォーマンスが開催。バークリー音楽大学でジャズを学び、ニューヨークでビートメイキングの影響を受けたミュージシャンが生み出すエッジの効いた演奏は、聴衆の心に響きます。
また、市の未来像をイラストで描いたビジョンマップも展示されており、作品を手掛けた美術家の鷲尾友公氏はイベント開催中も手を加えていました。そのほかにも、「ビーズ制作」や「夢をかなえるプロジェクト」などワークショップの開催やフォトブースの設置もあり、高校生をはじめ学生や一般市民の来場者が楽しんでいました。
マルシェ会場は屋台を楽しむ市民の姿で賑わう
周辺会場では、屋台やキッチンカーが50店舗以上集結するマルシェが開催。フードやドリンク、アクセサリー、雑貨など多彩な出店を楽しむ多くの市民で賑わいました。
マルシェ会場の来場客にインタビューしたところ、ダンスパフォーマンスに参加した高校生は、学校で運営メンバーから「18っ祭!」に誘われたと話してくれました。また、父親と一緒に来ていた小学生は、学校でチラシをもらって行ってみたいと思った、とのことでした。このほか、当日Instagramでイベントの開催を知ったというご夫妻や、「近くを歩いていたら市役所のあたりが賑やかだったから気になって」と話すお孫さんを連れた年配男性などもおり、市の中心部でイベントが開催されたことを皆さん喜んでいる様子でした。
3年生から2年生へ未来にバトンを手渡す
閉会式では、運営メンバーの高校3年生から次回を担う2年生に「18っ祭!」Tシャツがバトンとして手渡され、「18っ祭!」は閉幕。
大学がない四国中央市では18歳の高校卒業を機に、就職するか市外に出ていくかの選択を迫られます。一度市外で暮らすことになっても再び戻って来てもらえる、そんな魅力あるまちにしていくためには何が必要か、高校生を中心に市役所の職員や地元の人たちと何度も議論を重ね、生み出されたのがこの「18っ祭!」というイベントです。パフォーマンスや運営に走り回る高校生の姿を現地で見つめていると、今回のイベントに対する熱量がひしひしと感じられました。その熱が後輩や外部の人たちにも伝わっていくことで四国中央市への関心が高まり地元愛が深まる、そんな未来を感じさせるイベントでした。