労働市場

残業時間の上限規制など働き方改革関連法の施行が始まってから2024年4月に5年を迎える。同法が成立した際、安倍晋三首相(当時)は「70年ぶりの大改革」と評した(※1)。5年という政策的な節目を控え、施行後に起きた変化を振り返ると、コロナ禍によるテレワークの急拡大がまず挙げられるだろう。次の働き方改革のテーマとして、労働者にニーズのあるテレワークを労働法制でどのように位置づけるべきだろうか。テレワークなど柔軟に働くことを勤務先の企業に求める権利を定めている英国や法制化を検討するドイツを参考に考えてみたい。

2024年度の税制改正要望が8月末に各府省から出そろい、改正の議論が本格化する。焦点の一つとして、退職所得課税の見直しがある。同じ会社の勤続年数が長いほど控除額が増える仕組みは、成長分野への円滑な労働移動を妨げているのではないかという問題意識から俎上に載った。控除額の見直しには様々な意見があるが、個人の働き方が違っても中立な税負担があるべき姿だろう。本稿ではスタートアップ企業の目線で考えてみたい。
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