山ノ内町 City Fragrance Project
長野県 山ノ内町 | Dec.2025志賀高原、湯田中渋温泉郷、スノーモンキーなど、四季折々の自然と温かな暮らしが息づく長野県山ノ内町。しかし今、この町は人口減少や担い手不足という課題に直面しています。この現状を乗り越え、未来への希望をつなぐため、町は未利用資源である森林の枝葉に着目しました。森の恵みと人々の想いを込めた特別な香りを「シティフレグランス」として形にし、新たな地域ブランド「雪水香(せきすいか)」を開発しました。この香りは、環境保全と新たな産業の芽を育てながら町の誇りとなり、世界へ仲間の輪を広げつつ、賑わいある暮らしを未来へ届ける挑戦を支えます。
CHALLENGE
賑わいを未来へつなぐための挑戦
長野県北部に位置する山ノ内町は、人口約11,000人。冬はスノースポーツや温泉、夏は高原トレッキングなど、一年を通じて多彩なアクティビティが楽しめ、国内外から多くの観光客が訪れます。また、清らかな水に育まれた農産物は全国的にも高い評価を得ています。
しかし、その裏では、少子化や若者の流出により人口減少と高齢化が進み、観光業や農業では担い手不足が深刻化、それに伴い地域を支えてきた産業の維持も年々難しくなりつつあります。さらに、地球温暖化の影響も加わり、この町の置かれた環境はますます厳しいものとなっています。こうした課題に対し、持続可能な観光地として環境保全に取り組むとともに、観光客だけでなく地域外の関係人口※を増やすことが重要であり、そのためにも新しい産業の創出によって地域経済を盛り上げ、賑わいのある住みやすい町を目指す施策が求められています。
※ ふるさと納税、副業・兼業、イベント参加、SNSでの発信など、さまざまな形で町の活性化に関わる人々
IDEA
自然の恵みから始まる町づくり
人口減少や担い手不足といった課題に向き合う中で、山ノ内町では、町ならではの魅力を生かせる方法を探し、その答えとして、町の自然や暮らしの中に日常的に漂う「香り」に着目しました。この香りを、地域の特性を表現した「シティフレグランス」として形にし、ブランディングやまちづくりの手段として活用することを目指します。具体的には、この香りを森林整備の過程で森に残された枝葉から成分を抽出して製品化します。これにより、商品づくりそのものが森林資源のアップサイクルを通じて環境保全につながり、町の魅力発信や新たな産業創出を同時に実現できます。
さらに、町の魅力を表現した香りを「雪水香(せきすいか)」としてブランド化し、地域経済や観光の振興に活用するとともに、町民の誇り(シビックプライド)を高め、次世代の担い手を育成します。これらの取り組みにより、「若者と外国人に選ばれる町」を目指し、町が掲げる将来像「未来に羽ばたく 夢と希望のある 健康な郷土(まち)」の実現を図ります。
SOLUTION
香りでひらく産業と未来
香りの開発には、香りによる空間づくりに長けた民間企業が参画し、商品化は地元企業、原料の抽出は森林組合がそれぞれ担当しました。三者が知見を持ち寄り、町の魅力をどう表現するか議論を重ねた結果、シティフレグランスの候補が誕生。香りの選定は、地域住民や観光客による投票で行われ、その後は地域住民向けのイベントやワークショップを通じて取り組みを広く周知してきました。こうして全国、そして世界からも共感する仲間が集まり、町の新しい産業として根付かせるため、製造量の増加と流通先の拡大を目指してプロジェクトを継続的に進めています。
加えて、町が進める植林活動と連動し、地元の中学生や高校生を対象にしたワークショップを開催。次世代を育成するコンテンツとしての展開も期待されています。今後も、地域の未来を育む取り組みを推進し、持続可能な新しい産業の確立に向けて挑戦を続けていきます。

