デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下、DTFA)が企画立案から携わり展開してきた四国中央市のシティプロモーションは、始動から2年目に突入しました。本年度以降さらに本格化させステップアップすることを目指し、高校生、地元企業、市職員との対話を通してまちの魅力と未来像についての思いを固めるワークショップを数回に分けて開催しています。
2023年12月18日に開催された第2回目のワークショップでは、シティプロモーションの旗印となるロゴやスローガンを制作するにあたってのレクチャーと、チームに分かれての意見交換が行われました。
目次
旗印の策定に向けた助走ステップ
ワークショップの全体説明と前回の振り返り
今回のワークショップは、高校生、地元企業と市職員の方々の参加のもと、DTFAの運営により開催されました。最初にDTFAブランディングアドバイザリーの江島成佳より、この取り組みの位置付けや目的についての説明がありました。
人口減少、少子高齢化などが急速に進展する現代の日本において、現行維持では市⺠⽣活の活力低下、地域経済のマイナス影響が避けられません。そこでシティプロモーション戦略として、様々な分野で「選ばれる市」となることを目指した取り組みを進めることで、Uターン人口などの増加を目指したいと思います。
たくさんの市町村がある中から、「選ばれる市」になるのは簡単ではありません。多くの方々を巻き込みながら、多面的かつ継続した活動を行っていく必要があります。そこで、そのための第一歩とするべく、四国中央市ならではのシティプロモーション戦略でありシンボリックなアクションとして、「18っ祭!」を昨年度初開催しました。
今年度からは、四国中央市のシティプロモーション戦略は実装を目指していくステップです。これから様々な活動を始めていくにあたって、四国中央市「らしさ」とメッセージを発信し、皆さんが参画できるシティプロモーション活動の拠り所となる旗印(ロゴ・スローガン)を策定します。
この旗印を作るために、①四国中央市の価値や魅力、伝えたい想いなどを抽出しながら、②ロゴ・スローガンの方向性を一緒に検討し、③その旗印をどのようなシーンやプロダクトに展開したらよいかなどの活動イメージを作るために、3回のワークショップを実施することにしました。11月17日に開催した第1回目に続く今回は第2回目になります。
nae株式会社のクリエイティブディレクター篠原由樹さんによるレクチャー
続いて、様々な企業のデザインを手掛けてきた篠原さんが登場し、自己紹介の後、今回のワークショップの進め方について説明がありました。
今回のワークショップには2つの目的があります。1つ目は今回制作するロゴとスローガンを判断する基準を理解すること、そして2つ目は、次回に向けて、ロゴとスローガンの方向性を絞ることです。
まずは世の中にあるロゴ、スローガンについて多くの事例やルールを知ることで、良いロゴ、良いスローガンとは何かを判断するための基準をそれぞれが理解できるようにします。それを踏まえて他地域のシティプロモーションやスローガンを比較しながら何が良いのかを考え、言語化し、次回に向けて進めていく方向性を決めます。まずは良いロゴとは何かを考えていきます。
良いロゴは記憶に残り、その組織の思想やメッセージ、姿勢を伝えてくれます。また、ロゴデザインには基本的なルールがあります。例えば、視認性、媒体ごとのサイズ、カラーの設定、コントラスト基準、といったものがあります。特にカラーについてはその色が持つイメージがあるのでそれを理解しておくことが重要です。
次にスローガンについて考えます。魅力的なスローガンは、「誰に」「何を」「どのように」が的確に表現されている事業コンセプトだともいえます。
議論を交わしそれぞれの意見を集約していく
ワークショップ
良いロゴとスローガンの具体的な事例紹介後、ワークショップが始まりました。まず様々なスローガンの中で「好きな要素」「嫌いな要素」を考えます。配布された全国各地のスローガンのうち、好きなキーワードと嫌いなキーワードに〇を付けます。続いてそのキーワードの要素を抜き出し、それが好きな理由、嫌いな理由を付箋に書き出します。
ロゴについても同様に、全国各地のロゴから好きなもの・嫌いなものを選んでその要素を抽出し、その理由を考えて書き出します。
それぞれの意見が出そろったらチームとしてディスカッションし、好きな要素と嫌いな要素を上位3つ選んで発表してもらいました。その後、またメンバーをシャッフルしてチームごとに発表してもらいます。
ワークショップを終えて
前半のロゴ・スローガンのレクチャーの時間は学校の授業のような雰囲気で、参加者は篠原さんの説明に熱心に耳を傾けていました。ワークショップに入ると、2回目ということで慣れてきた参加者の皆さんにより各チーム内で活発な議論が交わされ、模造紙いっぱいに貼られた付箋からもその盛り上がりが感じられました。日常の中で高校生、地元企業、市職員とそれぞれ違う立場の意見を集約していくのは容易なことではありません。それが実現していったのは、「自分たちのまちのロゴ・スローガンをいいものにしたい」思いが全員をつなげていたからなのかもしれません。
最後に、参加した高校生のインタビューを紹介します。
多様な考え方があることを知る機会に
川之江高校2年生:横尾海地さん・星野陽大さん
――2回目のワークショップに参加した感想をお聞かせください。
横尾:高校生だけではなく地元企業の方々や市民など、様々な立場の参加者が集まっていたため、新鮮なアイデアや多様な考え方に触れることができ、非常に刺激を受けました。普段、異なる世代の人たちと意見を交わす機会が少ないため、伝えたいことが上手く伝わらないときやコミュニケーションが取りづらい瞬間もありました。全体としては話し合いを楽しめましたが、「どう伝えればより相手に理解してもらえるか」についてワークショップを通じて考えることが多かったです。
星野:ワークショップでは、全国の自治体が採用しているロゴやスローガンをまとめたリストが参考資料として使用されました。市町村それぞれに様々な意味や思いが込められていることを知り、具体的に四国中央市独自のアイデアをどのようにまとめ上げれば良いか、イメージするのが難しいと感じました。
――大人たちとの話し合いで印象に残ったのはどんなことでしょう。
星野:大人たちが持つ四国中央市のイメージと、私たち高校生が抱いているイメージには、大きな違いがあると感じました。高校生は地元のお祭りや紙の伝統産業を誇りに感じていることが多いです。
横尾:高校生には知られていない情報をもとに、大人たちは四国中央市のイメージを描いているのが印象的でした。例えば、日本一の紙のまちとしての工業力や就職機会の多さに四国中央市の魅力を感じている方々が多いようです。地元企業の皆さん方のお話を聞き、全国にPRすべき市の魅力をより具体的に把握しており、目の付け所が違うなと感じました。
また、高校生はまちの印象を漠然と捉えがちですが、企業の方々はまちの情報発信に対するアイデアがとても具体的で、意見がより建設的だなと感じました。