一目未来
一目未来 西室明子
我が家の平日の晩ご飯は、一人息子と二人で囲むのが定番だ。「核家族化」「少子化」「ワンオペ」といった社会課題の縮図を見る思いもするが、少し前、ささやかな気づきがあった。▼赤と黒の夫婦椀に味噌汁をよそい、「あなたは黒ね」と息子の前に置いた。夫婦椀のことを知らない彼は「なんで?赤でも良いでしょ?」と何の疑問もなく私に尋ねた。その一言に、私自身が色に対して無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャスバイアスを持っていたのかもしれない、と気づかされた。世代差と単純に言い切ることはできないが、これまで当然と思っていた価値観が少しずつ変わりつつあることに、驚きと希望を覚えた。▼こうした価値観の変化は、企業や社会が掲げる目標のあり方にも影響を与えていくのではないだろうか。各国で女性登用に関する数値目標や情報開示の枠組みが広がり、企業もさまざまな取り組みを進めてきた。そうした流れは今後も重要だろう。一方で、固定観念を当然視しない世代にとっては、女性という枠組みだけにとらわれない目標の示し方も必要ではないだろうか。▼女性管理職比率の目標の背景には、多様な人材が能力を発揮できる社会を実現し、組織の活力や競争力を高めるという考え方があるだろう。だからこそ、そうした原点に立ち返り、女性という属性軸だけで捉えるのではなく、多様な職種や専門性に着目した雇用・評価制度やキャリア形成を進める有効性も踏まえ、手段の実効性を軸にした目標設定を考える余地がある。▼「なんで?赤でも良いでしょ?」と言う世代が社会の中心になるとき、私たちはどのような目標を掲げるべきなのだろうか。(パートナー 西室明子)