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一目未来

一目未来 吉田修平

※記事中の内容、所属および役職は公開時点のものです

働き方改革という言葉が誕生してから十年が経った。その流れの中で、労働基準法大改正の議論が今も継続している。フリーランスやテレワークなど、多様化する現代の労働のあり方に合わせた制度の調整が進み、さらに日本は働きやすい国となっていく。▼労働者と使用者という概念が存在する。雇われる者と雇う者。立場の違いを踏まえ、特に雇われる側の権利は法律で守る必要がある。「使用者責任」という言葉が示す通り、使用者については権利よりも課される義務が増え、働き方改革もその延長線上にある。▼この十年間の働き方改革の発展の中で、労働者と使用者が対峙する構図の矛盾が浮き上がっている。そのように感じる瞬間がある。M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)の現場においても、使用者とみなされる管理監督者の定義がしばしば議論される。労働者は昇格・昇進により管理監督者となり、使用者側に回る。一度使用者となるや否や様々な責任を負わされ、働き方改革を実装する立場に変わる。昨日までの労働者は明日からの使用者なのか。使用者当人の働き方は改善されるのか。そびえ立つ責任が割に合わないと管理職を避ける人が多くの企業において増えていると耳にする。それは一億総活躍社会という働き方改革の原点で掲げられた理想の姿なのか。解釈の難しいところである。▼法律を踏まえて実社会における正解を導くのは民間の役割である。日進月歩の技術革新、企業文化や制度の修正など様々な試みはこれからも行われていくだろう。次の十年は、こうした矛盾の可能性を見据えたさらなる改革が成し遂げられることを願う。(パートナー 吉田修平)