マーケティング領域で唯一無二の存在を目指し、M&Aも活用して進化(後編)

成果報酬マーケティングを行う株式会社Macbee Planetにおける、これまでの戦略、人材育成等について話を伺った前編。それに続き、後編では同社が今後積極的に展開しようとしているM&Aの様相を深掘りしました。幅広い分野におけるM&Aを視野に入れている代表取締役社長、千葉 知裕氏の持つ視点、現状の分析と今後自社が取っていくべきと考える動きなどを語っていただきます。
目次
千葉 知裕氏
株式会社Macbee Planet
代表取締役社長
公認会計士。大手監査法人を経て2018年に上場準備責任者として当社に入社。2021年12月のグループ経営体制への移行を機に代表取締役社長に就任。メンバー全員が活躍できる組織を目指し、グループ全体の事業、組織づくりを牽引している。
渡辺 真里亜
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
マネージングディレクター
大学院修了後、コンサルティングファームにて、システムコンサルタントとして勤務。現・有限責任監査法人トーマツに入社後、転籍を経てDTFAにおいて、バリュエーション業務に従事する。現在、ライフサイエンス・ヘルスケア、テクノロジー・メディア・通信、エネルギーなど幅広い業界のM&A案件に携わっている。
メディアも注視し、変化していくビジネスのあり方に対応
渡辺
前編では、メディアのM&Aにも関心を持っていると伺いました。その理由について教えていただけますか。
千葉
私たちのビジネスは、クライアントがあり、当社があり、メディア関連がありといった図式になっています。現在の企業目標はマーケティング業界で唯一無二の存在となることですので、当然メディア領域を強くすることも必要になってくるでしょう。現在トップにある大手企業は、豊かな人材と大きな資金力を備えています。それに対し、私たちはデータとテクノロジーの力を最大限に活用して挑むつもりです。マーケティングファネルの「認知」でデータをしっかり繋ぎ合わせていけば、少人数でも彼らと戦うことができるのではないかと考えているのです。それを実現して、勝負していけるようになれば、市場が逆転する可能性も見えてきます。長期計画においては、この可能性を現実のものとすることが重要な要素になると考えています。
渡辺
その実現のために、具体的にどのようなプランを描いていますか。
千葉
インターネット広告の次世代化で単価を変動させる、大型メディアを立ち上げるなどを想定しています。ただ、今現在は一般メディアの視聴率が徐々に下がってきていると分析しています。一方で、専門性の高いバーティカルメディアは盛り上がりを見せており、人の流入も非常に多い。この傾向は、今後も進んでいくと予測します。また、近年は消費者の情報検索手法にも変化が見えています。私たちマーケティング支援会社もこのようなメディアの多様化に対応、素早くキャッチアップを行なっていくことが今後求められるでしょう。
渡辺
時代の変遷とともに企業も変化していくべき。よく言われることですが、確かに重要なポイントです。
千葉
私たちがメディアを持つことに、リスクがないわけではありません。ですから、ある程度慎重に動かなければならないとも考えています。他方で、当社が強みとする「獲得」の最適化も推進していく必要があるでしょう。加えて戦略PRも重視し、それを「獲得」と紐づけていかなければなりません。現在は、そういったサービスの開発に挑戦しているところです。このPRと「獲得」の融合は、これから進んでいくものと捉えています。
渡辺
業界の現状とこれからをしっかり捉えていらっしゃるように感じますが、今後御社はどんなビジネススタイルを確立していきたいと考えていますか。
千葉
成果報酬型のビジネスは、利益の出ないいわゆる「無駄打ち」を削減することが重要です。そこを考慮した事業展開を行なっていくことになるでしょう。また、メディアを含め、時代は急激に変わってきています。例えばWeb広告一つとっても、配信内容を自由に設定できる運用型に切り替わってきている。この流れを見ても、将来的には成果報酬型ビジネスが主流になっていくのではと考えます。それならば、私たちは今まで通り成果報酬型にこだわり、そこに広告効率を重ね合わせて、費用対効果に見合った形で顧客獲得を実践していきたい。その結果、クライアントがビジネスに正しく向き合える状態を作り出せれば、互いに有益と思います。
千葉氏が自分の、自社の「今」を築くまでの変遷
渡辺
大きな目標を掲げて活動を続けていらっしゃいますが、千葉社長はもともと監査法人で会計士をなさっていたと伺っています。
千葉
そうですね。入職したのは2010年ですが、リーマンショック後ということもあり、非常に募集が絞られていました。そのため、働かせてもらえる喜びのようなものは強く感じていたと思います。とにかく足元の仕事に没頭し、結果が伴ったキャリアを築こうと考え、社会人としてスタートを切りました。 監査法人ではIPO部署に所属、およそ8年半かけて実績を積み、クライアントからの評価も得られるようになりました。その時点でキャリアを変え、経営方面に進みたいと改めて考えて、自分を生かせる企業を探し始めたのです。これまでの実績を踏まえたうえで選択したのが、上場の可能性があり、なおかつCFOポジションが得られるMacbee Planetでした。その後入社1年半で会社は無事上場。その後、周囲からの推薦があって社長に就任しました。
渡辺
社長としてこれまでに達成してきたと自負すること、今後取り組んでいきたいことを教えてください。
千葉
2022年4月期に設定した中期経営計画を2024年4月期に大幅に達成したことです。具体的には、売上高220億円→394億円、営業利益22億円→36億円となり、グループ一丸となってなしえた成果だと考えています。また、今後の取り組みについては、2025年4月期~2027年4月期中期経営計画の3つの事業戦略として、①インターネット広告の次世代化、②PRと獲得の融合、③加速度的なM&Aによる非連続な成長を掲げています。
渡辺
その時々に、全力で業務に向き合ってきた姿勢が評価されているのでしょうね。ご自身で、昔も今も大切にしている思いなどはありますか。
千葉
結果にこだわるということは、ずっと大事にしてきました。結果を残せば周囲からの評価も得られる、そう考えています。社長就任後も同じ思いで業務に向き合ってきたおかげで、現在の業績が生まれたと感じています。
渡辺
責任の重い仕事を続けてこられましたが、ご自身をモチベートするポイントはありますか。
千葉
困難に出合ったとき、それを乗り越えた自分を想像してマインドセットすることでしょうか。将来のストーリー、自分にとってのベストシナリオを考えて行動に移しています。小さなことで言えば、最近は早い時間に就寝するように心がけていますね。その代わり朝は早く起きて、好きな動画を見たりしながらリフレッシュしています。生産効率を上げるには集中力と時間の使い方が重要というのが、私自身の考えです。
ありがとうございました。今後のご活躍も期待しております。