2024年3月2日、群馬県前橋市にて、UPDATE EARTH 2024 ミライ MATSURI @前橋が開催されました。本イベントは、デロイト トーマツ グループが企画の立ち上げから携わった日本最大級のイノベーション体験イベントです。

テーマは、「ローカル×テック×エンタメで拓く“本当”の社会実装」。学生から起業家まで幅広い層を対象に募集した「UPDATE EARTHコンペティション」の受賞者発表をはじめ、未来を体感できる8つのプログラムが、日本トーターグリーンドーム前橋を中心に行われました。

日本のトップランナーと未来の担い手達が一同に会した本イベント。熱気に包まれた現地の様子をレポートします。

期待が高まるオープニング

メイン会場のスクリーンに未来を予感させるダイナミックなティーザーが映し出され、イベントが開幕しました。

今回が初回となる「UPDATE EARTH」の目的は、育成・発掘・成長の3つの観点からイノベーターを支援し、社会課題を解決へ導くことであると宣言。オープニングの最後では、一般財団法人UPDATE EARTHの福田理事長、デロイト トーマツ グループの前田CGO、前前橋市長を務めた山本龍氏、新市長の小川晶氏が登壇。「このような全国規模のイベントが前橋で開催されることを、大変光栄に思います」と小川市長が感謝の言葉を述べました。

大賞には1,000万円。NIPPON INNOVATION AWARDの受賞者を発表

本イベントで最も注目を集めたプログラムが、「NIPPON INNOVATION AWARD」の受賞者発表です。「NIPPON INNOVATION AWARD」とは、地球のUPDATEを目指すアイディア技術を対象とした、国内最大規模を誇るビジネスコンテストです。大賞の受賞者に贈られる賞金は1,000万円。宇宙、農業・漁業、スポーツ、医療などのあらゆるジャンルが対象になります。全国から2万件を超す応募がありました。

まず、応募者の中から企業賞10組、支援者賞1組、優秀賞2組の受賞者が発表され、続いて大賞の受賞者が表彰されました。大賞に輝いたのは、東京大学大学院工学系研究科博士課程の竹内雅樹氏です。竹内さんのビジネスプランは、がんで失われた声を取り戻すためのデバイス開発。Syrinx(サイリンクス)というデバイスを首に巻くように装着し、口を動かすと、声帯の振動をデバイスがキャッチし、事前に録音したデータを元に、その人らしい声を再現します。竹内氏は「何を話せばいいかわからない状態です。がんで声を失った人が自分の声で話せる世界を目指して挑戦を加速させていきます」と喜びの涙をにじませました。

尖ったアイディアを発掘。異能vation ジェネレーションアワードの受賞者発表

「NIPPON INNOVATION AWARD」と同じく注目を集めたコンペティションが、異能vationジェネレーションアワードです。

異能vationジェネレーションアワードは、「ちょっとした、けれども誰も思い付いたことのないような面白いアイデア」「自分でも一番良い使い方がわからないけれど、こだわりの尖った技術やモノ・自らが発見した実現したい何か」をテーマとして、600文字以内のアイディアを事前に募集しました。応募数は、16,929件。その中から121件のアイディアが、受賞候補としてノミネートされました。さらに、その中から企業の特別賞として15件が選出。受賞者からは「予想していませんでした!嬉しいです」と驚きの声が上がりました。

NIPPON INNOVATION TRYOUT採択者の発表

海外展開を目指す個人・団体・企業の事業計画を対象としたコンペティション「NIPPON INNOVATION TRYOUT」の採用者が発表されました。6名の採択者の名前が呼び上げられ、壇上で表彰。福田理事長から「これからの成長を期待している」とエールが送られました。

トップランナー14名による日本が抱える課題への問い

本イベントのメインテーマである「ローカル×テック×エンタメで拓く本当の社会実装」について、パネルディスカッションが行われました。

まず、新藤内閣府特命担当大臣から「社会課題の解決を経済的に解決することが重要です。このイベントの大成功を祈っています」と激励の言葉が贈られました。

その後、千葉工大学長の伊藤穰一氏やJINSの田中仁CEOなど日本のトップランナー14名を迎え、1時間にわたるトークセッションが開催。AI・企業・ロボット・ラーメン文化など広範囲のテーマについて、「どうしたら日本から地球をアップデートできるか」という問いへの意見が多角的な視点で掘り下げられました。福田理事長は「この取り組み自体がスタートアップのようなものです。実装を見据えてイノベーションの波を起こしていきましょう」と熱を込めて語りました。

日本屈指の名店がタッグ。当日限定の絶品ラーメンが販売

ラーメン情報メディア「ラーメンWalker」と東京・埼玉・千葉・群馬の名ラーメン店がタッグを組み、当日にしか味わえない限定ラーメンが提供されました。会場の外では、「有名店主×有田焼で味わう、日本最高峰のラーメン」をテーマに、新宿の人気店「SOBAHOUSE 金色不如帰」、予約必須な湯河原の名店「らぁ麺 飯田商店」が出展。200杯限定のメニューは完売しました。また、会場の食堂では、5店舗のラーメンや店主の技術を合わせ、AIとタッグを組んで開発した「AI前橋ラーメン」が販売。もつ煮をトッピングした味噌ラーメンを求めて、食堂の外に行列が続きました。

ロボットクリエイター髙橋智隆氏監修ワークショップ

全国に1,700以上のロボット教室を展開するヒューマンアカデミーが主催し、ロボを生み出したロボットクリエイターの髙橋智隆氏が監修を務めるワークショップが開催されました。約150人の子どもがイベントに参加。テーブルに置かれたブロックを夢中で組み立て、ロボットを作り上げました。

三池崇史監督×AI映画製作キックオフイベント開催

「殺し屋1」「着信アリ」「クローズZERO」などを生み出した三池崇史監督。映画界の巨匠が立ち上げた「AIと共に最高の映画を創る会」のキックオフイベントが開催されました。

当日は、事前に予約した100名以上の参加者が会議室に集まりました。三池監督は「AIを活用した映画製作」について「自分の理想のイメージをAIで表現できる時代になる。これを活用しない手はない」と熱く語りました。

遠隔でEVを動かす!近未来的なドライビング体験会を実施

群馬県庁の庁舎内とその前ではモータースポーツ事業を展開するTOM’Sが最先端EVカートの体験会を開催しました。

群馬県庁の中で開催された「EVキッズカート(エンタメ)体験」では、カートの試乗会を実施。子ども達が、事前に運転のシミュレーションを体験した後、バルーンコースで遠隔操作・リモート制御されているカートに乗り、試乗を楽しみました。また、コントローラーを操作し、遠隔でカートを動かす近未来的なドライビング体験会も行われました。県庁の中で子ども達がコントローラーでカートの動作を入力すると、群馬県庁前のカートが少しずつ前進します。その様子を見た子ども達は、戸惑いながらも興奮していました。

未来を感じさせるエンディング

イベントの最後には群馬県知事の山本一太氏がステージに登壇。群馬県が移住希望地第2位になったことを紹介し「新しい価値がどんどん生み出されるような、未来を見る人たちが次々と生み出されるような地域にしていきたい」と語りました。

日本中からイノベーターが集まったUPDATE EARTH 2024  ミライMATSURI@前橋。起業家・クリエイター・研究者・行政・飲食と幅広い人材が集まり、今後の日本や世界を変える大きな熱量が感じられるイベントでした。