デロイト トーマツ スペース アンド セキュリティ合同会社(DTSS)は2026710日に英語を主体とするシンポジウム「New Era of Japan-US Business Collaboration in Space」を開催した。DTSS202511月に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)関係機関との共催で、日本の衛星観測事業の展望を探るセミナーを開いていた。今回は米国の官民関係者に最新動向を説明してもらったうえで、日本が技術的な優位性を活かして両国による宇宙事業協力の新時代を切り開く方策を探った。

English Version is here.

■イベント概要

名称   New Era of Japan-US Business Collaboration in Space

開催日  2026710日(

会場   Deloitte Innovation Park Room D(千代田区丸の内の新東京ビル8階)

出席者  宇宙事業に関心を持つ企業関係者80人程度

構成     米航空宇宙局(NASA)アジア代表の基調講演

米企業関係者3人による最新動向紹介

日米宇宙関係者による2回のパネルディスカッション

       DTSSによるデロイトの宇宙事業紹介

       対談による日米協力将来像に関する討議

 

月面探査から持続可能な宇宙経済へ

  • 開会あいさつでデロイト トーマツ グループの永津英子CGO (Chief Growth Officer)は、米国のイノベーションと強い事業実行力、日本の技術力と信頼性を掛け合わせれば、より大きな価値を創出可能だと強調した。
  • 基調講演を行ったNASAアジア代表のレベッカ・レビー氏は、米国主導で有人月面探査を行う「アルテミス計画」は恒久的な月面基地を設けるという大きなゴールを掲げており、また、「アルテミス・アコード」は参加が68カ国を超え、アジア諸国との連携も順調だと説明。特に対日協力は約60年にわたって続き、これまでに700件以上の協定を締結したと語った。NASAのミッション分野[1]の全てで協力しているのは日本とドイツだけとも述べた。
  • レビー氏は宇宙開発が「共に探査する段階から、未来へのプレゼンスを築く段階に移行している」と新時代到来を強調したうえで、月面の継続的な人類活動に向けて日本の研究機関や企業との協力をさらに進め、持続可能な宇宙経済を共に形成していきたい、と力を込めた。
     

    NASAアジア代表のレビー氏

 

宇宙新時代に日本企業が活躍できる余地は十分

さらに米国の宇宙関連企業の幹部3人が登壇して、最新動向を報告した。

  • ジェフ・ベゾス氏が2000年に設立した宇宙開発企業で、再利用ロケットや通信機器、月面探査機の開発を進めているブルーオリジン社の国際営業責任者ティファニー・ウォン・ホール氏は、「月を再訪して滞在する時期が到来した」などとするベゾス氏のビデオメッセージを紹介。ブルーオリジン社が過去10年で日本企業29社から部品などの供給を受けたことを明らかにするとともに、日本からの調達を拡大させる意向を示した。また、同社が、両国の宇宙機関やビジネス・パートナーと協力しながら、電力供給や輸送、高解像度マッピングによる資源把握などを通じて月面基地の活動を支えると強調した。
  • マニフェスト・スペース社のニック・オレンスタインCEO(最高経営責任者)は同社が衛星を「見つけやすく、識別しやすく、調整しやすくする」企業だと説明。2030年代前半までに衛星数が現在の約10倍に増加する見込みで、衝突・喪失リスクの増大が予見されることから、航空機や船舶の運行を調整する既存システムに似た衛星版構築を目指していると語った。そのうえで日本が持つ、安全を開発の初期段階から重視する文化や、自動車産業に由来する量産・信頼性・部品供給の知見を高く評価し、宇宙産業が量産化へ本格移行する局面においては、多様な分野で日米が協力する可能性があることを強調した。
     

    (左)ホール氏 (中央)コンシャフター氏 (右)オレンスタイン氏 
     

  • L3ハリス・テクノロジーズ社の宇宙部門責任者マイケル・コンシャフター氏は同社が、気象衛星(ひまわり8号と9号)に10分ごとの全球観測が可能な技術を導入するなどして、日本の台風監視を支えていると説明。ミサイルを地上だけではなく衛星からも探知するシステムを構築した実績も紹介した。そのうえで、日米両国の国防、国民生活、経済、軍事活動は宇宙関連技術にますます依存する方向にあり、こうした環境変化の下で、脅威に先んじるための関係強化が望まれると力説した。

 

日米宇宙新時代と事業強化のあり方

パネルディスカッション前半では「次世代に向けた日米協力モデルをいかに創るか」と題して、宇宙分野における日米協力の意義、協力を阻む課題、今後の方向性に関する議論が行われた。L3ハリス社コンシャフター氏、マニフェスト・スペース社オレンスタイン氏に、JAXA地球観測プログラム戦略室/地球観測研究センターの杉田尚子参事を加えた3人が登壇。モデレーターは、日本の半導体ファブレス企業EdgeCortix(エッジコーティクス)防衛&宇宙技術部門バイスプレジデントであるスタンリー・クロウ氏が務めた。

 

日米協力の意義と効用

  • JAXA杉田氏は、日米が特に地球観測分野で1990年代後半から約30年にわたり、高性能化したセンサーや衛星を活用しながら共同で観測データと科学的知見を蓄積してきたと説明。こうした協力関係は現在、宇宙活動に深く根付いており、今後も継続していく重要な基盤だと述べた。
  • コンシャフター氏はインド太平洋地域における軍事作戦には気象衛星データが不可欠で、日本の「ひまわり」と米国の「GOES(静止環境観測衛星)[2]」との観測技術共有が戦略地域全体の観測能力向上に貢献していると強調。滑空段階迎撃機(Glide Phase InterceptorGPI)やイージス・システムなど防衛分野でも共同開発が進展しており、今後は宇宙から脅威を探知・可視化する能力の強化が重要になるとの認識を示した。
  • オレンスタイン氏は、グローバルなサプライチェーンの視点から、各国の政府や企業が得意分野を持ち寄れば効率的な協力が可能だと指摘。日本はSSA(宇宙状況認識)で米国のデータに依存しているが、将来的に日本の衛星に両国合弁企業が独自のセンサーを搭載できれば日本が主権的にデータを扱えるようになると述べた。

 

障壁を超えるために

  • オレンスタイン氏は、日米の文化やコミュニケーションの違いは相互理解によって克服可能ながら、輸出管理制度に関しては依然として政府による厳格な承認プロセスに従うことが求められていると指摘。そのため、技術情報共有には慎重な制度運用が求められ、調整に時間を要する場面もあると述べた。また、宇宙産業は開発期間が長いため、短期的な利益を求めない「忍耐強い資本(Patient Capital)」による資金調達も重要だとした。
  • コンシャフター氏も米国の国際武器取引規則(ITAR)は多層的で複雑な審査プロセスを有し、政府内の支援者抜きでは進まないこともあるため、依然として大きな障壁だと指摘した。そのうえで、こうした制度上の制約があるからこそ、両国政府のリーダーシップが不可欠であり、政府間の早期連携が宇宙産業の成長を支えると述べた。
  • 杉田氏は、宇宙技術は機密性と戦略性が高いため、協力は本質的に難しいと指摘。米国が日本にロケット技術を提供できたのは同盟国という信頼関係があったからこそだと説明した。そのうえで、アルテミス協定のような国際的な枠組みを通じて、協力のルールや方向性を示していくことが、今後ますます重要になるとの考えを示した。

 

協力深化に向けたポイント

  • コンシャフター氏は、今後特に重要なのは「相互運用性(Interoperability)」であり、地上システムや通信などについて、米国で既に実証された技術を日本が迅速に取り入れ、互換性のあるアーキテクチャ構築を加速させることが望ましいと述べた。
  • 杉田氏は、15年前の日本では宇宙分野の議論は政府、JAXAJAXAプロジェクトを受注する企業にほぼ限られていたが、現在は100社程度のスタートアップが参入し、多層的な宇宙エコシステムが形成されつつあると指摘。米国には多様なプレイヤーが集まる巨大市場が存在しており、日米それぞれのエコシステムを連携させれば、新たな協力機会がさらに広がる可能性があると主張した。
  • オレンスタイン氏は、欧米の宇宙関連会議でJAXAをはじめ日本企業の存在感が高まっていると紹介。ビデオ会議ツールの普及で世界中のプレイヤーが日常的に迅速な意思疎通が可能になったことは、国際協力を加速させる大きな変化だと語った。
  • モデレーターのクロウ氏は、宇宙産業では再利用可能ロケットやAIなど、かつて考えられなかった技術の多くが人と人とのつながりや協業から生まれ、市場が新たな用途を見出すことで発展してきたと指摘。防衛分野では主権や安全保障の観点からの機密確保の範囲内で協力の余地を広げることが重要であり、交流機会があってこそ新しいアイデアやパートナーシップが生まれると強調した。そして、今回の議論が5年後の新たな事業や協力関係につながることへの期待を示し、パネルディスカッションを締めくくった。 
     

    (左)クロウ氏 (右)杉田氏

 

日本が米国にとって不可欠となるには

パネルディスカッション後半は「“強固な相補関係”の構築」をテーマに、日本が米国の不可欠なパートナーになるには何が必要か議論した。NASAレビー氏、ブルーオリジン社ホール氏に、三井住友銀行(SMBC)スタートアップ推進部の横山嵩・業務推進第一グループ長を加えた3人が登壇。モデレーターはDTSSの長山聡祐・副社長が務めた。

 

官民の役割分担は激変

  • レビー氏は、アルテミス計画において月面着陸システムの一翼を担うブルーオリジン社などの民間企業が多数参加している点をとらえ、かつてNASAJAXA主体だった日米協力モデルは大きく変貌しており、政府の役割はルール形成・規制・持続可能な宇宙利用の模範を示すことに限られてきていると語った。そのブルーオリジンのホール氏は日本ほど地球環境や倫理、安全性、説明責任が一貫している国はなく、米国が今後の宇宙開発計画に組み込むことは自然な選択であると述べた。
  • SMBC横山氏は、日本には強い技術がある半面で、宇宙分野以外の潜在的ユーザーが不明なことによる需給ギャップ、製造・試験・調達・販売の面で信頼できるパートナーが足りないことに伴うサプライチェーンギャップ、多額の先行投資の収益化が見えにくい資金ギャップ、なども存在すると指摘した。

 

調達関係と補完関係の違い

  • 長山DTSS副社長から単なる調達関係と補完関係の違いを問われたホール氏は、調達は取引的(transactional)だが、補完関係は戦略的(strategic)でリスクを一方に押しつけないと回答。調達では購買側がベンダーにリスクを転嫁しやすいが、補完関係では双方が投資してリスクを共有することが重要であり、意思決定も補完関係では専門性に基づいて分散的に行うことが望ましいと説明した。
  • ホール氏は能力の高い日本企業とのパートナーシップ実現には時間がかかり、ITARなど輸出管理上の制約が障壁になり得るが、乗り越えねばならないと強調。個社間協力を業界レベルのインフラへと引き上げる鍵は、政府間の枠組みの上に築かれる「相互運用性(Interoperability)標準」だと主張した。具体例として、宇宙での通信やデータ処理などを行う同社プラットフォームの「ブルーリング」を日本側が活用して技術実証を行えば、まさに相互運用性と政府間枠組みを実地に試す機会になると述べた。

 

宇宙ステーションと金融機関

  • レビー氏は、15カ国と5つの宇宙機関が協力して建設した国際宇宙ステーション(ISS)を協業の代表例として紹介。2011年のスペースシャトル退役を機に、米当局がスペースXやボーイング、ノースロップ・グラマンなどの民間企業と連携して有人・無人の商業的な運航プログラムを構築したことで、NASAが宇宙船を保有しないビジネスモデルが生まれたと強調した。
  • 横山氏は過去3年間にSMBCが実施したスタートアップ向け投融資2700億円のうち、約30%までが宇宙関連だったと説明。ベンチャーキャピタル(VC)ファンドの投資担当者に銀行出身者だけでなく先端技術などに詳しい外部人材も登用し、大企業とスタートアップをつなぐ専任チームも新設したと語った。このように金融機関が企業育成の「エコシステムビルダー」の役割を担えば、補完関係をインフラへと進化させる一助になると説明した。

 

今後5年間に優先されるべきは

  • ホール氏は今後5年の優先事項として、自社で取り組んでいる事業を踏まえ、月における経済的バリューチェーンの構築、ブルーリングの宇宙空間での機動性向上とホステッド・ペイロード(人工衛星へのミッション機器相乗り)アーキテクチャの高度化、そして通信の抗たん性を確保するための大容量ネットワーク「テラ・ウェーブ」展開などの領域について、価値観の合う日本をパートナー国に位置付けたいと語った。横山氏は今後5年で日本が優先すべき点として、①衛星システムや宇宙空間利用などから「不可欠」とされる分野を見極める、➁日米企業が長期投資やリスク、成果を共有できる「旗艦案件」を作る、を挙げた。レビー氏は“working together(共に取り組むこと)”を最優先して国際パートナーと産業界の専門性を活用することが、今後5年間のNASAの成功に不可欠だと述べた。 
     

    (左)長山副社長 (右)横山氏

 

重点化と裾野拡大は両立できるか

  • 最後の質疑応答では会場から、重点化の必要性は理解できるが、月面探査、防衛・安全保障など複数の領域を個別の旗艦案件ではなく、複数のプログラムとして構造化できないかとの質問が出た。これに対しレビー氏は、宇宙はあまりに複雑な領域になっており、商業・防衛・民生の各主体がつながり続けつつ、各自が優先順位を維持することが重要だと述べた。ホール氏は、相互補完的な関係により不必要な取り組みを避けることができると強調。互いの強みを持ち寄って組み合わせることにより、それぞれが単独で行うよりも早く進めることができると語った。
  • 日本は意思決定の速さで米国に劣るのではないか、金融機関は加速役になれるのではとの質問も出た。横山氏はこうした点を認めながらも、金融機関がスタートアップと大企業の連携支援を強化し協業を増やすことで、徐々にキャッチアップ可能との認識を示した。

 

サイバー検知システムや情報共有基盤を提供~デロイト

続いてDTSSの長山副社長と片桐亮パートナーが、デロイトの宇宙事業について説明した。

  • 長山副社長は、デロイトが世界9カ国に宇宙専門チームを持ち、Space as a Mission(官公庁・政策・大型システム)、Space as a Business(会計・税務・法務・人事などの基盤領域)、Space as a Growth Opportunity(スタートアップ・大企業の新規参入)という3つのアジェンダを掲げていると説明。日本ではDTSSが中心となり、コンサルティング・会計・税務・リーガル・監査などデロイト トーマツ グループの力を総動員して、宇宙産業の基盤となるビジネス支援を提供していると強調した。自治体支援、災害対応プロジェクト、衛星データ利活用促進、国際連携プログラムなど多面的な取り組みを通じて、日本の宇宙産業の発展に寄与したいと語った。
  • 片桐パートナーは、デロイトが開発した宇宙空間向けサイバー侵入検知システム「Silent Shield」について説明した。ソフトウエアとハードウエアを統合したシステムで、デロイトの3つの衛星に搭載され、軌道上での実証が進んでいる。地上だけでなく衛星や通信リンクを含めた宇宙システム全体のサイバーセキュリティ強化が重要性を増す中、米国の国家安全保障システムに関する新たな要件への対応も見据えた取り組みだと説明した。また、Space ISAC[3] への参画を通じて官民や国際的な関係者とのリアルタイムな情報共有基盤の構築を支援し、日米を含む国際協力の強化に取り組んでいることを紹介した。 
     

    (左)長山副社長 (右)片桐パートナー

 

日米事業連携の将来に向けて

プログラムの最後は日米事業協力の未来像をテーマとする対談となった。慶應義塾大学総合政策学部の福島康仁・准教授と、宇宙関連企業への助言を行うスペース・エコノミー・ライジング社のCEOで商務省幹部としての来日経験も豊富なケビン・オコーネル氏が登壇。福島氏の問いかけに対してオコーネル氏が見解を述べる形で進められた。

 

「探査中心」から「経済機会の大きい領域」へ

  • 福島氏これまで、日米の宇宙ビジネス協力はどのように変化してきたか。また、今後、このパートナーシップはどのような方向へ発展していくと考えるか
  • オコーネル氏宇宙分野は純粋な探査中心の時代から、大きな経済的機会を伴う時代へと移行しつつある。日本は宇宙大国となる要素をすべて備えているが、そのために必要な起業家精神、政府戦略、民間資本の3要素のうち、民間資本の本格的な関与は今になって拡大しつつある段階。ただ、調整を欠いたまま投資が進むと不要なインフラが生まれるリスクがあるため、規制は透明かつ、市場変化に迅速に対応できるものであるべきだ。輸出管理について米国にも日本にも課題はあるが、愚痴を言っていても仕方がない。大切なのは困っている企業同士が課題を具体化し、解決案とともに両国政府へ持ち込むことだ。
  • 福島氏日本のスタートアップは米国に子会社を設けNASAや宇宙軍向けビジネスを始めている。日本企業はもはや単なるフォロワーではなく、グローバル市場の能動的プレイヤーになりつつある。もう一つの重要な動向は、日本が固有の宇宙能力(sovereign space capabilities)の強化を進める中で、日米企業間の連携が拡大していることである。

 

日米産業界の秘めたる可能性

  • 福島氏日米の宇宙ビジネス協力を持続可能なものとするためには、双方に利益がある関係でなければならない。その観点から、日本はどのような分野で不可欠な存在となるべきか。米国に何を求めるべきか。また、国家安全保障の観点から日米のビジネス協力はどのように再定義されるべきか
  • オコーネル氏真のパートナーシップは双方に利益があることが大前提。日米が協力できる分野としてはサプライチェーン強靭化のほか、衛星画像なども有力だ。宇宙市場が国家安全保障の色彩を強めている中、日米は互いに守るべき領域を持ちながらも効率的なルール下で協業できる仕組みを整える必要がある。
  • 福島氏日本企業は信頼できる供給元として重要な部品を提供する余地がある。また、同盟国との負担分担が米国で議論される中、日本が防衛宇宙能力を強化することは日米双方の国益にかなう。その能力整備に当たっては日米企業が協力する機会が数多くあり、相互運用性の確保にも資する。イージス艦は日本で建造されるが、イージス・システム、レーダー、迎撃ミサイルは米国製である。こうした協力モデルは宇宙分野にも適用できる。

 

ベストプラクティスが切り開くルール形成

  • 福島氏宇宙能力を安定的に利用できる環境をいかに維持するかも重要な課題である。ルール形成において日米が主導できる分野はあるか
  • オコーネル氏日本には、世界的な合意形成を待たずに自国の規制・政策を先んじて整備し、リーダーシップを発揮してきた実績がある。「産業界は安全に無関心」という考えは誤りである。両国の民間セクターは、軌道上サービスなどでのベストプラクティス策定に貢献して、広範な規範や国際法に結び付ける可能性を秘めている。

 

月、原子力、量子、ミサイル探知・追尾に期待

  • 福島氏今後5年で象徴的な日米協力案件を作るとすれば何になるのか
  • オコーネル氏期待される共同プロジェクトは月面経済、原子力発電、量子の3分野だ。月面で大きな経済的な価値を生み出すには原子力発電によるエネルギー供給が必要であり、日本も重要な役割を果たしうる。量子コンピューターは宇宙とも密接に関連しており、多様な協力が求められている。
  • 福島氏極超音速滑空体(HGV)などを探知・追尾する衛星コンステレーションは、日米の企業間協力を象徴する案件になり得る。日米は滑空段階迎撃ミサイルを共同開発しているが、その効果的運用にはHGVを宇宙から探知・追尾する能力が不可欠だ。日本はこの分野での経験が限られており、能力の保有を決定した場合は米国企業の協力が不可欠になるだろう。
     

    (左)福島准教授 (右)オコーネル氏

 

憧れるのではなく同じフィールドで

DTSSの長山副社長は閉会あいさつで、「米国に対して様々な見方はあるものの、宇宙をリードしているのは米国であり、最大の宇宙市場を持つのも米国であることは事実だ」と強調。その現実を踏まえたうえで、日本はフォロワーとして憧れるのではなく、米国と同じフィールドで事業を展開すべきであり、デロイトとしても貢献したいと抱負を述べた。

 

(編集)駅義則、江田覚、小松潔、鈴木和泉

 


[1] NASAでは、宇宙飛行・探査、宇宙科学、地球科学、航空技術の4つのミッション分野を設けている。https://www.nasa.gov/nasa-missions/ (2026713日アクセス)。ただ、レビー氏によると最近になって①宇宙飛行・探査➁地球および宇宙の科学③調査・技術(宇宙・航空調査を含む)の3分野に再編された。

[2] Geostationary Operational Environmental Satellite:米海洋大気庁(NOAA)とNASAが運用する静止気象衛星のシリーズ。

[3] ISACInformation Sharing and Analysis Centerの略。日本の組織のサイトは https://japan-space-isac.jp/

デロイト トーマツ戦略研究所 / Deloitte Tohmatsu Strategy Institute