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ユヴァル・ノア・ハラリ氏の「NEXUS情報の人類史」を読みながら、最近のトランプ関税の動きを眺めている。超大国の民主主義国家であるアメリカが一人の大統領によって大きく動かされ、世界を巻き込み、混乱が生じつつあるのは改めてアメリカの影響力を感じるし、今後の不透明感がより高まっていると思うこの頃である。民主主義国家の代表であるアメリカがこれまでとは違う側に行くのか、非常に興味深い。▼アメリカは、若い国であり、今後、第二次世界大戦の時のような権威主義・全体主義にも行きかねない危なさはある。そういう危機の入り口にいるのかもしれない。また、AI革命が盛んに喧伝されるが、AIは情報の中央集権体制と相性がいいという側面を持つ。アメリカでも意見の多様性を排除するような言説が目立ち、そこにAIの進化が加わってくるとディストピアの世界感が出てきて、悲観的になるところもあるかもしれない。▼しかし、そういう悲観的な状況になればなるほど、楽観の力を信じたい。楽観的に、将来を良い方向に変えていこうとする実行力が求められている。テクノロジーの進歩は止められないが、それを破壊的な動きに繋げることは避けなければならない。▼テクノロジー業界に身を置くものとして、テクノロジーを良い方向に使っていこうという意志、議論を封じる方向ではなく議論を活発化する方向に使っていこうという意志が、今まさに求められているところである。(パートナー 熊谷圭介)