我が国の人口が減少の一途を辿る中、各地の地域経営・まちづくりのマインドセットは、定住人口という数量だけを追い求める施策から、地域外の人口とのより多様で有益な関係構築と活用へと転換されつつある。

そこで本調査研究では、地域内部のステークホルダーや外部人材などの多様な集積と交流がこれまでになかったアイデアやアクションを生み出すことに期待して、外部人材が集まりやすい都市とは、交流が生まれやすい環境はどのようなものかを探るため、都市の条件を検討しデータベースによる可視化を試みた。

 

本レポートでは、具体的なアクションを創発する地域内外の交流の形に様々なケースが考えられる中で、我々が注目する3つの都市の取組事例について取り上げるとともに、作成したデータベースを活用して3都市をサンプルとした考察を行っている。掲載している事例のひとつ目は、アートと伝統的産業、空き店舗などを融合させてまちを活性化するアクションを次々と創出している富士吉田市。ふたつ目はSDGs未来都市計画の達成を目指して、県外の企業人などのワーケーションを誘致し、その知見・経験等の活用を試みる鳥取市。そして、クリエイティブなビジネス都市としてのブランドの拡張・活用によってより多くの「知」の交流を図るべく、都市計画を大胆に見直してオフィス・ラボの誘導を図ろうとしている京都市である。

 

なお本データベースは、地域内外の創造的交流によるイノベーション創発の観点から、都市の強みや弱みがどこにあるのか、それを強みや弱みと認識すべきかどうか、そのように認識する理由は何かなどを探索していくうえでの端緒を開くツールとしての活用を見込んでいる。

 

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中村 圭介 / Keisuke Nakamura

研究員

都市計画コンサルタントとしてキャリアをスタートさせ、その後シンクタンク系ファームにおいて、土地利用、施設活用、商業・観光・中小企業・農業等の地域産業振興、中山間地域の活性化、シティプロモーション、国土・広域圏政策などに係るリサーチ・コンサルティング業務に従事。2023年4月にデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に入社し、DTFAインスティテュートに参画。


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