ニセコ Sustainable Future Project
北海道ニセコ町 | Oct. 2024
北海道・ニセコ町は、豊かな自然や世界屈指のパウダースノーに恵まれ、国際的なスキーリゾートとして発展してきました。その一方で、町の基盤には、作家・有島武郎が説いた「相互扶助」の精神や、自然と人との共生を重んじる文化が今もなお息づいています。こうした価値観を軸に、ニセコ町は「こども未来共創都市」を掲げ、共感をベースとした持続可能なまちづくりに取り組んでいます。さらに、2024年5月にはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーと地域包括連携協定を締結し、産業振興と暮らしの質の向上を両立するための取り組みを開始しました。
CHALLENGE
未来に誇れるまちを残すために
ニセコ町では、観光客や外資の増加により町が活気づく一方で、町内外の交流は一過性のものにとどまり、町の資産は「消費」されるだけで、地域に還元・蓄積されていないという課題が浮き彫りになっています。さらに、物価や家賃の高騰による暮らしの圧迫や、行政、環境への負担の増大など、持続可能性を脅かす問題も顕在化しています。地域の価値観を共有し、次世代につながる新たな価値を築くために、一人ひとりが課題を自覚し行動することが求められています。
IDEA
まちを学びのフィールドに
私たちは、「人づくり」こそが持続可能なまちづくりの原点であると考え、ニセコ町全体を“学びの場”とし、未来を担う若者を育てるための教育コンテンツや実践の機会を提案しました。町が大切にしてきた「相互扶助」や「自然との共生」といった価値観を次世代につなぎ、地域の持続性に本質的な変化をもたらすには、若い世代が地域に触れ、学び、関わり続ける仕組みが重要です。単なる知識の習得ではなく、自然や文化、人との関わりを通じた体験型の学びによって、若者が地域とつながり、自分自身の価値を築いていく。これこそが、「人づくり」から始まるまちづくりのかたちです。
SOLUTION
人づくりで未来を育む町へ
私たちは、町全体を学びの場に変える構想を具体化するため、ニセコ町が推進する官民連携の枠組み「ニセコハートラボ」にオフィシャルパートナーとして参画しました。ニセコハートラボは、ニセコ町が掲げる持続可能なまちづくりに共感する企業や団体が、それぞれの知見や資源を活かして連携するためのプラットフォームです。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーはその中で「人づくり」に焦点を当て、地域に根ざした学びのコンテンツづくりに取り組んでいます。
ニセコ町が持つ独自の文化や暮らし、自然環境を教育資源と捉え、それらを体感しながら学べるプログラムを企画・運営することで、町の魅力を「消費」ではなく「共創」という形で伝えていきます。一過性の交流にとどまらず、町内外の人々が継続的に関わり合いながら、次世代へ価値をつなげていく。この仕組みづくりを通じて、私たちは、人を起点とした持続可能な地域づくりに寄り添い、伴走していきます。