自分らしく働く女性のためのコミュニティのかたち
男女雇用機会均等法が制定された1985年以来、日本では徐々にではありますが女性管理職の登用が進んでいます。しかし、世界経済フォーラム(WEF)が発表するジェンダーシップ指数は146ヶ国中118位に過ぎません。特に政治・経済分野の男女格差は顕著であり、女性のスキルアップや昇進を阻む”ガラスの天井”が日本社会に暗い影を落としています。
女性が本当に自分らしく働く社会の実現には何が欠けているのでしょうか。歴史、文化、意識、社会制度など挙げればきりがありませんが、重要なのは、今この時を起点に障壁をディスラプトし、あるべき姿を手に入れる手段です。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は、この手段を“コミュニティ”の存在であると考え、他者から学び支えあうコミュニティを設立することで、働き方や選択肢が多様化する中で女性が本当に自分らしい選択ができる社会の実現を後押しします。
目次
自分らしいキャリアを目指すすべての女性たちへ
近年、役員や管理職への女性登用が企業や社会にもたらすポジティブな影響についての認識が高まる一方で、女性のキャリアにおける選択肢も多様化しています。こうした状況のなか、多くの企業が女性の活躍を推進し、女性管理職の比率を向上させる取り組みを行っています。しかし、管理職を「目指したい」または「どちらかというと目指したい」と考える人の割合は、男性が80.3%であるのに対し、女性は44.9%(*)にとどまっており、女性の管理職志向が比較的低い傾向にあることが現状です。
企業は、今一度立ち止まって考える必要があります。女性たちが前向きに、自分らしさを大切にしながらキャリアを築くための基盤や環境、さらには文化を本当に整えられているでしょうか。管理職登用の数字ばかりを追い求めてはいないでしょうか。
より多くの女性たちが企業で重要な役割を担いたいと思えるようにするためには、まずは彼女たちが自身の可能性を信じられるようなサポートや後押しが必要だと考えます。現役の女性役員や管理職が、次世代を拓く女性たちをサポートするプロジェクト「Toget-HER」(トゥギャザー)は、さまざまな志向や価値観を持つ女性たちを支援するためのプロジェクトで、“自分らしいキャリアを築きたいと願うすべての女性が仕事を心から楽しみ、その先の自分らしいキャリアを歩んで欲しい”という想いが込められています。
*男女共同参画局「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査(第5回)」
女性同士のつながりを生む「シスターフッド」
「Toget-HER」では、企業で役員や管理職として活躍している女性たちが次世代の女性たちの成長を支援する取り組みを「シスターフッド」と呼んでいます。多くの経験を積み重ね、自らのキャリアを築いてきた先輩たちが、次世代に知識や経験をつなぐ場を提供するものです。
「Toget-HER」のシスターフッドは、さまざまな企業で活躍する役員や管理職、プロフェッショナルたちとともに、ビジネスパーソンとして働く女性が抱える次のような疑問や悩みに真摯に向き合います。
- 等身大の本音はどこで得られるのだろう?
- ひとりで自己実現の道を進んでいく自信はないので、一緒に歩む仲間が欲しい。
- 仕事に役立つ政治・経済、社会情勢はどう自分に影響するのだろう?
- 視野を広げるためにどのような学びを得れば良いのだろう?
- 女性特有の疾患やメンタルヘルスに関する正しい知識を得たい。
- 今後のライフプランをどう考えるべきだろう?
このような悩みに対して、ナレッジの共有や情報交換、メンターシッププログラムなどを通じて、ビジネスパーソンとしての成長をサポートします。また、ビジネスや社会の最新トレンド、ライフスタイル、ウェルネスに至るまで、幅広い知識を提供することを目指しています。さらに、会社や業界の垣根を越えた「シスターフッド」の文化を社会全体に広めるために、情報発信や他のコミュニティとの連携も積極的に行う予定です。
ラグランジュポイント
「Toget-HER」は、女性たちが互いに支え合い、成長を促すコミュニティの場です。このようなつながりこそが、それぞれの女性が自分自身の状況に合わせて、自己実現に向けた最適な選択を行う力となると信じています。仕事を楽しむ中で、管理職に挑戦する女性が増えることは、企業や社会にとっても非常に望ましいことでしょう。
しかし、「Toget-HER」は、管理職を目指すことだけが正解ではないと考えています。管理職を目指さないという選択肢も尊重し、他者から押し付けられるのではなく、納得のいくキャリアを自ら描いていく女性を増やすことも、私たちは大切にしています。
すでに役員や管理職として活躍されている方々には、このコミュニティを通じてご自身の経験や知識を共有し、さらに仲間を広げることで、より一層ご活躍いただけることを期待しています。
われわれは、この「Toget-HER」が企業や社会にとって、そして自己実現を目指すすべての女性にとって価値ある存在となるように取り組んでまいります。