2025年は雇用やデジタル、経済安全保障などの領域で制度が変わる 。企業や働き手に影響を及ぼすと思われる主な法律をDTFAインスティテュートがピックアップし、施行時期や内容を整理した。
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雇用分野で大きく制度が変わるのが失業給付だ。改正雇用保険法の施行により、2025年4月から自己都合で退職した場合の失業手当の給付制限が大幅に緩和される。これまで自己都合退職は給付制限期間を原則2カ月としてきた。制度改正後は教育訓練を自ら受けた場合、給付制限なく、雇用保険の基本手当を受給できるようになる。転職に踏み切る人が増え、企業にとって人材確保の優先度がさらに高まりそうだ。連動する形で10月から教育訓練のため休暇を取得した場合、給付金が出るようになる。働く人にリスキリングを促す狙いだ。
デジタル分野では大手IT企業がアプリ配信などで他社の参入妨害を禁じる法律が2025年12月までに施行される。一定規模以上の事業者を対象として、禁止する行為を明確にした事前規制になる。具体的には、他の事業者によるアプリストア提供や他の課金システムの利用を妨げる行為などを禁ずるとした。同法の施行によって競争が活発になり、新たなサービスが生まれるかがポイントになる。
経済安保では、政府の持つ重要情報を扱える人を認定する「セキュリティ・クリアランス(適格性評価)」制度が2025年5月までに創設される。情報を漏洩した場合には懲役5年以下などの罰則が科される。
影響力が高まっているインターネット上の違法・有害情報に対処するため、削除の迅速化などを大規模プラットフォーム事業者に義務付ける。2024年の選挙でネット情報の影響力の高さが注目され、違法・有害情報への対応は2025年も強化されそうだ。