バブル全盛期以降の日経平均株価最高値更新、大手企業の賃上げなどのニュースが相次いでいる。こうした中、本調査では、ビジネスパーソンが日本経済および日本企業について「競争力が低い」と認識していることが明らかとなった。競争力強化に向けて重要な政策・施策のトップには「技術開発やイノベーションへの投資」「デジタル化、DXの推進」が挙がる。経済成長のために重要な技術としてはAI、次世代エネルギー・環境エネルギーの回答率が特に高い。日本経済・日本企業の競争力を向上させるためには、これらの新技術の開発や活用などを手段とした変革(DX、GX)を進めることは必須といえる。しかし、ビジネスパーソンは自身の勤務先企業を保守的と認識していることもわかった。

日本経済、日本企業についてビジネスパーソンは「競争力が低い」と認識

バブル全盛期以降の日経平均株価最高値更新、大手企業の賃上げなどのニュースが相次いでいる。こうした中、本調査では、ビジネスパーソンが、日本経済および日本企業について「競争力が低い」と認識していることが明らかとなった。

「今の日本経済に競争力があると思うか」という設問に対して、競争力がある31.5%、どちらともいえない28.4%、競争力がない40.2%で、競争力がないという回答率が上回った。勤務先企業に競争力があると考えるかについては、競争力がある47.0%、どちらともいえない33.1%、競争力がない19.9%である。調査対象が大企業(年商500億円以上)の役職者(課長以上)であり、一般的な企業よりは「競争力がある」前提となるにも関らず、競争力があるという回答が5割に届かなかった。

 

日本経済が競争力を高めるにあたっての課題のトップ3は、「少子高齢化」「労働生産性の向上」「技術開発、イノベーションの停滞」である。日本経済・社会にはこれらの構造的な問題があることが、競争力があるという意識を持ちにくい原因になっていると考える。

競争力強化に向けて重要な政策・施策のトップには「技術開発やイノベーションへの投資」「デジタル化、DXの推進」が挙がる。経済成長のために重要な技術としては「AI」「次世代エネルギー・環境エネルギー」の回答率が特に高い。日本経済・日本企業の競争力を向上させるためには、これらの新技術の開発や活用などを手段とした変革(DXGX)を進めることは必須といえる。

 

しかし、ビジネスパーソンは自身の勤務先企業を保守的と認識していることもわかった。約7割が「新しい技術はリスクなどを見極め慎重に採用する」タイプ、「既存の事業を着実に推進する」タイプと回答しており、このような保守的な企業姿勢が変革の遅れにつながることが懸念される。

 

図1 日本経済及び日本企業の競争力(単数回答)

※「競争力がある」は「とても競争力がある」と「やや競争力がある」の合計、「競争力がない」は「あまり競争力がない」と「全く競争力がない」の合計として集計

 

2 勤務先企業のタイプ(単数回答)

Aタイプは「Aにあてはまる」と「どちらかというとAにあてはまる」の合計、Bタイプは「Bにあてはまる」と「どちらかというとBにあてはまる」の合計として集計

 

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日本経済および日本企業の競争力に関する調査レポート.pdf

(※参照 デロイト トーマツ調査、日本経済、日本企業についてビジネスパーソンは「競争力が低い」と認識|ニュースリリース|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

小林 明子 / Akiko Kobayashi

主任研究員

調査会社の主席研究員として、調査、コンサルティング、メディアへの寄稿などに従事。IT業界及びデジタル技術を専門とし、企業及び自治体・公共向けIT市場の調査分析、テクノロジーやイノベーションについての研究を行う。2023年8月にデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に入社し、DTFAインスティテュートに参画。

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