宇宙からの問いかけ 視覚体験が呼び起こす
“一つの地球”と“世界の連帯”
「宇宙から地球を見る体験を一握りの人々から解放し、世界中全ての人に共有したい」――1人の男の熱い想いが詰まった宇宙アートプロジェクト「WE(ウィー)」が動き出します。世界で初めて宇宙空間でのCM撮影を実現した写真家・アーティストとして知られる高松聡氏。民間人として世界初となる約30日間にもおよぶ過酷な国際宇宙ステーション(ISS)滞在を敢行することで、夢でしかなかった理想が形になろうとしています。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は「プロジェクト推進プロフェッショナルパートナーおよびオフィシャルスポンサー」として、高松氏とともに民間パートナー企業や学術機関をはじめとする専門機関、「WE」に共感した全ての方々との連携を担い、プロジェクトの実現を後押しします。
「宇宙から地球を見る視覚体験」がもたらす変化
宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士たちは、「地球の美しさや儚さを目の当たりにすることで地球に対する捉え方が変わり、世界の平和や環境の保全などへの思いが強まる」と証言しています。このような心理的な変化は“Overview Effect(概観効果)”と呼ばれています。“Overview Effect”の効果は宇宙から帰還した後も薄れることがなく、地球や生命への関わり方が変わり、その後の人生観すら大きく変えてしまうといわれています。
これまで宇宙に行くことができたのは、軍人、パイロット、科学者、エンジニア、医師等のバックグラウンドを持つ宇宙飛行士と、十数人のビリオネアの宇宙旅行者に限られています。つまり、この“Overview Effect”も、ごく一部の人たちだけに許された“極上の体験”でした。
「本物の体験」を再現する圧倒的なクオリティへの挑戦
高松氏は、広告会社での勤務経験を活かし世界で初めて宇宙空間でのCM撮影を実現し、日清カップヌードル「NO BORDER」などの宇宙CMを手掛けた写真家・アーティストです。2015年にはロシアの軍の研究・訓練施設である「星の街」で宇宙飛行士訓練を完了し、本プロジェクトに際し、米Axiom Space社と締結しているSpaceX社のクルードラゴンに搭乗しISSに渡航する契約を締結しています。
「WE」において、高松氏はISS長期滞在中に複数台の超高解像度カメラを同時に使用する前例のない最新方法によって地球を撮影します。
撮影方法が最新鋭なら、それらを投影するスクリーンもまた前例のない野心的なものです。これまでにない圧倒的な大画面と超解像度、精彩を放つスクリーンを特注で製作し、AIテクノロジーで処理を行った映像を映し出します。
人間の視覚限界に迫るクオリティを持つ映像によって「宇宙から地球を見る視覚体験」を再現することは、ごく一部に閉ざされてきた体験を地球に生きる世界中の人々に「民主化」していくプロセスそのものです。
情熱とテクノロジーの融合――ほんの少し前まで夢物語にすぎなかった一人の男の想いが世界中に届くとき、人々は一体何を感じるのでしょうか?「WE」は、このアートとでも呼ぶべき体験をした人々が地球市民として、国籍、民族、文化、宗教などを越えて互いを思い合えるようになり、これからの世界・地球をどうしていくべきかを問いかけます。
「WE」が我々にもたらし得るもの
環境問題や世界平和をはじめ、現代社会が直面する多くの課題は、我々自身を滅ぼしうる可能性をはらんでおり、肥大化・複雑化を続けています。その因子を一つひとつ紐解いて解決を図っていくことは必須かつ重要なアプローチではあるものの、その肥大化・複雑化に伴い我々ひとりひとりが出来ることは相対的に小さくなってきています。それは、一つの企業・団体が出来ること、そして例えそれが一つの国であっても同様です。
それ故、我々は自身の出来ることを矮小化して捉え、これらの課題の前に立ちすくんでしまっていないでしょうか。我々は我々の強い意思を持って、「平和」や「サステナビリティ」を希求し、それがこれからも人類活動の前提とならなければならないと考えます。
幸か不幸か“Overview Effect”を体験したのは、ごくごく限られた人間のみです。まだ我々の中には、押されたことのない、地球に暮らすものとしての社会課題解決に向けた共通のスイッチが眠っているかもしれません。それは、人類全体が共鳴するための唯一の潜在機能かもしれません。そして、もしそのような機能があるとしたら、今こそ使わなければならないタイミングなのではないでしょうか。
平和を前提として我々の幸福を語り、サステナビリティを単なる地球環境の延命措置とせず人類のサステナビリティと捉え、月や火星といった次の宇宙開発に向かっていく。そしてそのような未来を我々の子供たち、その先へ残していく。
100年後、1,000年後、10,000年後の人類が、現在を生きる「我々」人類の時代をふり返った時に、「WE」がそのきっかけ、ターニングポイントになったと語られる日が来たら、という想いを胸に、我々も本プロジェクトを推進していきます。
(左)アーティスト・写真家 高松聡氏
(右)デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 執行役 Deputy CSIO パートナー 伊東 真史
最新情報等については、随時ウェブサイトで公開します。
宇宙アートプロジェクト「WE」 webサイト