社会が向き合うべき、一人ひとりのQOL(Quality of Life)の向上。製薬会社や医療機関、ヘルスケア領域のそれぞれの守備範囲で努力するだけでなく、同じ目線で競争する必要がある。第一三共グループはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーとタッグを組み、多業種連携の輪を広げていく野心的なプロジェクトを開始。

従来の製薬・創薬の枠を超えて、HaaSという船を未来に漕ぎ出す 

“いつまでも健康な毎日を送りたい”、“病気になっても、最適な治療やケアを受けて幸せに暮らしたい”——昨今よく耳にするHaaSHealthcare as a Service)とは、誰しもが抱くそんなささやかな願いを一歩現実に近づけてくれる画期的な考え方です。

しかし、一口に“健康を実現する”といってもその方法はとても複雑です。特に近年においては、単に症状を抑える、病を治すということを超え、超高齢化社会、また人生100年といわれる時代において、“一人ひとりのQOLQuality of Life)をいかに上げられるのか”というテーマと社会は向き合わなくてはなりません。このためには、製薬会社や医療機関などのヘルスケア領域のステークホルダーがそれぞれの守備範囲で努力するだけでは実現は難しく、テクノロジー企業や食品会社などのより幅広いプレイヤーとともに、同じ目線で共創することが欠かせません。しかし、“総論賛成、各論反対”の例を挙げるまでもなく、垣根を越えた目線合わせと大同団結は何時の世でも難しいものです。

この難題を自ら先頭に立って打開せんと、第一三共グループが立ち上がりました。いわずと知れた、がん治療の創薬やDXなどで世界的な知名度を誇るヘルスケアカンパニーです。“従来の製薬・創薬の枠を超えて、HaaSという船を未来に漕ぎ出す”という全く新しいチャレンジのため、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーとタッグを組み、HaaSが実現する未来を生活者やステークホルダーが共感・実感できる形で描くことで多連携の輪を広げていく野心的なプロジェクトを開始したのです。

ヘルスケア領域でWell-beingに貢献するHaaS

第一三共グループのパーパス(存在意義)は「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」です。その強みは、100年以上に亘って受け継がれてきた「サイエンス&テクノロジー」であり、それを源泉として数多くの医薬品を世に送り出してきました。革新的医薬品の創出を目指す一方、新たにHaaSの実現に向けた取り組みも進められています。

HaaSのコンセプトは、患者さんや生活者一人ひとりのLife Journeyに寄り添い、Well-beingに貢献するシームレスなトータルケアを提供するものであり、その実現に向けて、健康促進から予防、治療、予後ケアに至るまで、あらゆる企業および団体と協業するための場となるトータルケアエコシステムと、個人に紐づくさまざまな健康・医療領域データを連携し、データの流通と活用を可能にするトータルケアプラットフォームを構築するための活動を加速しています。

HaaSとLife Journeyのクロスポイントをつくる

HaaSが必要とされる背景、そして社会に提供される価値についての理解を深めるためには、まずHaaSによって実現される未来像を具体的に描く必要がありました。第一三共グループのメンバーと、トータルケアエコシステムのパートナー企業の1社でもあるデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーのプロフェッショナルでチームを組成してプロジェクトを開始、密な対話型ワークショップを積み重ねることにより、HaaSの提供価値を言語化し、その内容を誰でも素早く理解できるようにイラストで表現しました。組織が掲げるパーパスとHaaSが目指すビジョンの相関性をワークショップで繰り返し探求しました。哲学や概念とサービスが利用されるシーンや時間軸を議論では積み重ね、生活者のマインドセットとHaaSが交差するポイントを丁寧に紡ぎだしました。これらを短期間で集中して取り組み、イラストへの昇華。データ活用の先に、人々が笑顔になる未来の暮らしをつなぎ合わせ、一つのコミュニティーとして描き出しました。

ラグランジュポイント

第一三共グループのHaaSが目指す世界は、“患者さん、家族、社会を笑顔に”する、というものです。本プロジェクトでは、この“笑顔”を実現するためにHaaSの解像度を高め、誰であれ納得・共感できるような入口・起点をつくることにとことん拘りました。

HaaSが提供する価値、社会がどう変わるのかを徹底的に議論することで、プロジェクトメンバーそれぞれが持つイメージが明確になり、その成果を誰にでもわかる形で視覚化=クリエイティブとして世に出すことができました。

実感さえ備われば、より多くの共感を呼び、共に実現を目指す仲間が増える筈です。今後、多業種を巻き込み、この世界の実現に邁進していきます。まだまだ多くのチャレンジが待っていますが、我々は、HaaSが拓く明るい未来の到来を強く信じています。