街から出る人の想いとこれからも暮らしていく人の気持ち、新しい産業を興すことと地域を支える産業の成長。文化を醸成し選ばれるまちになることと、伝統を守り地域の良さを生かすこと。地域の未来を切り拓いていくうえでぶつかる複数の二律背反と向かい合いながら均衡させ、地域の新しい姿をデザインする

「地域創生」の本質

地域創生の本質は、「衰退する地方を活性化する地方振興策」ではなく、東京圏への一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、地域経済の活性化を図ることにあります。

エリアを訪れる観光客を、狭い日本の中で取り合いをしても根本的な課題の解決にはつながりません。

長期的なビジョンに基づき、「産官学金労言」、女性、若者、高齢者が、協力して、地域を作り変えていくことが求められています。

(※出典・参考:なぜ地方創生は難しいのか - Yahoo!ニュース地方創生が切り拓く日本の未来 | May 2019 | Highlighting Japan (gov-online.go.jp)、他)

実現の難しさ

とはいえその実現は非常に難しいものとなります。例えば一言で「産」といっても、これから興していく新しい産業と、これまで地域を支えてきた産業があります。

主役となるべき地域住民も、若者と高齢者、移住者と元の住民それぞれの立場で価値観も、使っている言葉のプロトコルも異なってきます。

それぞれの想いをきちんと重ね合わせ、一過性ではない仕組みとして機能する形を作り上げることができなければならないからです。

ラグランジュポイント

われわれは、多様なプロフェッショナルとアートとロジック両面からのサポートにより、新しい時代に求められる地域創生を実現へ向けてサポートしていきます。

今チャレンジしているケースでは、地理的なディスアドバンテージと、通学圏内に大学がないというクリティカルな課題により、若者を中心に人口の流出が起こっていました。

そこでわれわれは地域と協力し、街のコアバリューとビジョンを作り、形にする活動をスタートさせています。

ビジョンを作り形にするプロセスには、地域住民、特にこれから街を出ることを考える若者、高校生を一つの軸として置き、外の誰かから押し付けられたのではないビジョンを地域住民自ら作っていく形をとりました。

このプロセス自体を、アートや体験型のイベントというアプローチをとることによって、それぞれのプロトコルを超えて若者と高齢者、住民と、地域をサポートしようとする地域外の人達がつながり、未来視点での議論を重ね、形にすることができました。

この取り組みをきっかけとして、若者たちから、大学を卒業したらまた戻ってきたい街にしていきたい、という強い意志が言葉として現れました。

これからわれわれが進めていきたいことは、この若者たちが地域から外に学びに出たときに、本当に戻ってきたい街をつくること。それはつまり、地域から出ない選択をした若者や、地域に暮らし続ける住民がこの地域を楽しむということであり、街の可能性を広げるということです。

地域に新しい産業を作り、もともと地域を支えてきた企業や地域を愛する人のサポートを受けながら、ビジョンの実現へ向けたチャレンジを続けています。

シリーズ・若者が帰りたくなるまちはつくれるか―四国中央市の試みに迫る | DTFA Times | デロイト トーマツ グループ (deloitte.jp)